コストパフォーマンスの高いジュヴレ・シャンベルタンに似た長熟型ワインの産地

近年の価格高騰の中で、フィサン随一の造り手ピエール・ジュランや新星ベルトー・ジェルベの躍進と有名ドメーヌの進出で脚光を浴びるアペラシオン

【フィサン 〜Fixin〜】

 フィサンの集落は、ガロ・ロマン時代から存在し、葡萄畑は11世紀には大きく発展し、シトー派等の多くの教会勢力が所有していました。

[Fixin]は非常に発音とカタカナ表記が難しく、一部には「フィクサン」と表記したものもありますが、実際のフランス語では「フィッサ」と聞こえます。

 

 フィサンは北のマルサネ、南のジュヴレ・シャンベルタンの間に位置する村名アペラシオンで、フィサン村全域と南隣ブロション村の一部(クロ・ド・ラ・ペリエールの延長部分のみ)を栽培区域としており、コート・ド・ニュィ・ヴィラージュを名乗ることも可能です。

 

 アペラシオンとしてのフィサンは、コート・ドールの中ではやや地味な存在ではありますが、フィサンの地質はジュヴレ・シャンベルタンに似ており、ここからはコストパフォーマンスの高い長超型ワインを産み出します。赤白ともに認められていますが、植えられている葡萄はピノ・ノワールが圧倒的で、赤白の植樹比率は[97:3]となっています。

 フィサンには七つの一級畑があり、それらは村のシンボルであるサン・マルタン教会のある村南部の斜面上部に集中しています。また、フィサンは皇帝ナポレオンが逗留した村としても知られており、ナポレオンゆかりの一級畑クロ・ナポレオンもありますし、パリの凱旋門の彫刻で有名な彫刻家ルード作のナポレオン銅像[覚醒したナポレオン=Le Reveil de Napoleon]の置かれたノワゾ公園等もあります。

 フィサンの七つの一級畑の内、最も高名で、評価の高いのが面積1.83haの一級畑クロ・ナポレオンです。この畑は登記名は、[オー・シュソ(Aux Cheusots)]ですが、皇帝ナポレオンの親衛隊長かつ大の信奉者であったクロード・ノワゼが所有し、ブルゴーニュで唯一ナポレオンの名を冠することを許されたもので、現在はフィサン随一の造り手、ドメーヌ・ピエール・ジュランのモノポール畑となっており、クロ・ナポレオンのエチケットには、上述の実在するナポレオンの銅像が描かれています。

 このモノポール畑から生まれるピエール・ジュランの一級クロ・ナポレオンは、骨格のしっかりした堅牢でミネラルの強いワインで、同じ蔵の造る女性的で果実味と酸が豊かなエレガントなスタイルの一級レ・ゼルヴェレと好対照の関係にあります。

 下にブルゴーニュワイン委員会作成のフィサン葡萄畑地図を掲載しておりますので、クロ・ナポレオンやレ・ゼルヴェレ等の一級畑の位置をご確認下さい。

 フィサンで有名な造り手として第一に挙げられるのが、上述のモノポール一級畑クロ・ナポレオンを所有する「ドメーヌ・ピエール・ジュラン」です。ジュラン家は、1830年頃からフィサンでワインを造ってきた生産者で、現在フィサンとジュヴレ・シャンベルタンの約12haの所有畑から、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズやクロ・ナポレオン等の卓越したワインを生み出しています。マット・クレイマー氏の名著「ブルゴーニュワインが分かる」の中でも、『フィサン随一の造り手』と紹介しています。

 また、この「ブルゴーニュワインが分かる」初版の2000年時点で、フィサンの注目したい凄腕の生産者として挙げられているのが、ドメーヌ・ベルトーです。 ベルトー家は18世紀後半にフィサンの畑を購入して以来、7世代にわたって代々子どもへと畑を受け継いでいる家族経営のワイナリーです。 1930年にはメタヤージュによってジュヴレ・シャンベルタン村の畑を取得し、フィサンとジュヴレ・シャンベルタンを中心にドメーヌの規模を拡大していきました。

 現在の当主アメリー・ベルトー女史は、前当主の父ドゥニ・ベルトー氏とヴォーヌ・ロマネのドメーヌ・フランソワ・ジェルベ出身の母マリー・アンドレ・ジェルベとの間に1988年に生まれた若さと才知を兼ね備えた才媛で、ボルドー大学で工学、葡萄栽培、醸造学を学び、米国、ニュージーランドでの研修を終えて、2012年にドメーヌに戻り、2013年に父の後を継いで7代目当主に就任しました。

 そのドメーヌ・ベルトーを引き継ぐ際、母方であるジェルベ家の畑も一部相続したことで、ドメーヌ名を「ドメーヌ・ベルトー・ジェルベ」と改めました。それ以降、所有するアペラシオンは、父から受け継いだフィサンとジュヴレ・シャンベルタンに加え、母方から相続した特級クロ・ヴージョ、エシェゾーの他ヴォーヌ・ロマネの珠玉の畑群が加わって充実したものとなり、アメリー・ベルトーの造るワインの評価と人気は急上昇し、今日では合わせて18ヘクタールの畑を所有し、ブルゴーニュのトップ・ドメーヌの仲間入りを果たすまでに成長しており、傑出した造り手を持たないがゆえに、やや知名度に乏しかったフィサン村に誕生した新星ドメーヌとして注目されており、このアペラシオンのみならず新世代のブルゴーニュを牽引・代表する造り手として期待されています。

 また、近年のブルゴーニュワインの価格高騰の中で、ドニ・モルテ、モンジャール・ミュニレ、メオ・カミュゼ等他の村に本拠を置く有名ドメーヌも次々に進出しており、コストパフォーマンスが高い、フィサンのワインに注目が集まっています。

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