【一級畑オー・マルコンソール詳細】

 「神に愛された村ヴォーヌ・ロマネには並みのワインはない」(18世紀の作家クールテペ)との言葉通り、ヴォーヌ・ロマネには多くの優れた一級畑がありますが、このオー・マルコンソールはヴォーヌ・ロマネは勿論、ブルゴーニュを代表する優れた一級畑の一つです。ブルゴーニュワイン大全の著者ジャスパー・モリス氏は、ブルゴーニュの一級畑三傑として、「クロ・サン・ジャック」、「レ・ザムルーズ」、そしてこの「オー・マルコンソール」を選んでいます。また、一級ながら特級(グラン・クリュ)に値するその品質に敬意を表して、「グラン・プルミエ・クリュ」と呼ぶ人もいます。

  下にブルゴーニュワイン委員会作成のヴォーヌ・ロマネ葡萄畑地図を掲載していますので、オー・マルコンソールの位置をご確認下さい。

 オー・マルコンソールは南側はニュイ・サン・ジョルジュ一級オー・ブードに接するヴォーヌ・ロマネ最南端の一級畑で、北側に接するDRCのモノポールであるラ・ターシュと双子の様に並ぶ、縦に細長い形をした面積5.86haのクリマです。

 オー・マルコンソールの南東を向いた斜面は上に進むほど急傾斜になり、縦長な形状だけでなく地質的にも味わいもラ・ターシュに似ていることから「プティ・ラターシュ」(小さなラターシュ)とも称されており、ヴィンテージにかかわらず毎年リッチな風味と安定した味わいを見せる素晴らしいワインです。

【オー・マルコンソールの主な造り手と区画図】

 下の写真はオー・マルコンソールの全景に、現在判明している所有者の区画を記入したものです。

 現在のオー・マルコンソールの最大所有者はドメーヌ・デュ・クロ・フランタン(アルベール・ビショ)の1.75haで、2005年にトマ・モワラールから共同で畑を買ったデュジャックの1.57ha、ド・モンティーユの1.37haが続きます。

  

 この時ドメーヌ・ド・モンティーユがトマ・モワラールから取得したヴォーヌ・ロマネ一級オー・マルコンソールの面積は1.37haですが、下の写真の通り、この中の約0.4haの区画はDRCのモノポールの特級ラターシュの下部に食い込んだ区画(クリスチアンヌ)となっています。

 面積6.06haのラ・ターシュは面積1.43haの元々の小区画「ラ・ターシュ(La Tache)」と隣接する一級ゴーディショの大部分を後に編入した面積4.63haの小区画「レ・ゴーディショまたはラ・ターシュ(Les Gaudichots ou La Tache)」の二つの小区画で構成されていますが、クリスチアンヌの区画は本来の小区画「ラ・ターシュ」に食い込んでおり、しかも下の写真のように、二つの畑の間には区別する道も塀もなく、まさにラ・ターシュと一体になった区画となっています。(逆に、オー・マルコンソール本体区画とクリスチアンヌ区画の間には小道があり、区別されています。)

 なぜ、クリスチアンヌの区画がオー・マルコンソールから離れ、ラ・ターシュに食い込んだ形になっているかといいますと、現在の6.06haのラ・ターシュは、上述したように元々の小区画ラ・ターシュから周囲のレ・ゴーディショの大部分を併合・拡大してきたものですが、このクリスチアンヌの区画は別の所有者であったため編入できず、飛び地のような形で残ったのです。(これと同様に、この時ラ・ターシュに編入されなかったレ・ゴーディショも三ヶ所飛び地として残っています。)

 

 ドメーヌ・ド・モンティーユでは買収後の初ヴィンテージから、通常版のオー・マルコンソールとは別に、このラターシュ下部に食い込んだ区画で採れた葡萄を使い、現当主エティエンヌ氏の母親の名前を冠した特別版のオー・マルコンソール クリスチアンヌを造っています。この二つのキュベは、醸造も瓶詰も明確に区別されており、キュベ・クリスチアンヌは、スパイシーで凝縮感のある豪華絢爛なワインとなり、通常版より開くのに少し時間がかかるようです。

 オー・マルコンソールは土石灰分の強い粘土質石灰質土壌、一方、クリスチアンヌの区画は、ラ・ターシュの斜面下部と同じで、母岩はバジョシアンの硬いウミユリ石灰岩、上部がバトニアンの柔らかい石灰岩となっており、土壌も異なっていますので、この二つのキュベの飲み比べは大変興味深く、一度試してみたいものです。

 モレ・サン・ドニの盟主ドメーヌ・デュジャックは2005年にド・モンティーユと共にトマ・モワラールからこのオー・マルコンソールの畑1.57haを購入し、これによりドメーヌの商品構成にもう一つ旗艦銘柄が加わりました。

 この2005年にオー・マルコンソールと共にトマ・モワラールから取得した畑がシャンベルタン(シャンベルタン0.04haとクロ・ド・べーズ0.25ha)とロマネ・サン・ヴィヴァン(0.17ha)の二つの特級畑でした。これまで名手デュジャックの保有する特級畑は勿論優れた銘醸畑ではあるものの、そのラインナップは本拠地モレ・サン・ドニを中心としたもので、ブルゴーニュを代表する特級畑・一級畑は所有しておりませんでした。

 1968年設立の新興ドメーヌのデュジャックにとって、ブルゴーニュの王様シャンベルタンや神に愛された村ヴォーヌ・ロマネの特級畑・一級畑はまさに喉から手が出るほど欲しかった悲願ともいうべき畑で、この取得により、ドメーヌ・デュジャックは名実ともにブルゴーニュの最高峰生産者の一人に位置づけられたと言っても過言ではありません。

 これ以外のオー・マルコンソールの造り手としては、ドメーヌ・シルヴァン・カティアールが挙げられます。所有畑4.2haと小規模なドメーヌながら特級畑ロマネ・サン・ヴィヴァン等の著名なクリマを所有していることで有名ですが、その中でも0.75haを所有するオー・マルコンソールは格付け上は上のロマネ・サン・ヴィヴァンを抑え、実質的にはドメーヌの看板ワインと評価されている銘柄です。

 また、ロマネ・コンティとラ・ターシュに挟まれた稀有な立地にある特級ラ・グランド・リュをモノポールとして所有するドメーヌ・フランソワ・ラマルシュもオー・マルコンソールの斜面上部と下部の2パーセルで合計0.5haを所有しており、ここから秀逸なオー・マルコンソールを造っています。

 かつての名ドメーヌ、シャルル・ノエラを継承したドメーヌ・アラン・ユドロ・ノエラもオー・マルコンソールに畑を所有していますが、面積は僅か0.14haの極小区画のため、通常の750mlボトルではなく、1500mlのマグナムボトルでリリースしており、こちらも稀少ワインとして大変人気があります。

【ドメーヌ・ド・モンティーユのオー・マルコンソール クリスチアンヌはこちらからどうぞ】
【ドメーヌ・デュジャックのオー・マルコンソールはこちらからどうぞ】
【ドメーヌ・フランソワ・ラマルシュのレ・マルコンソールはこちらからどうぞ】
   
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