【ボルドー右岸の銘醸地サン・テミリオン】
←クリック1999年ユネスコの世界遺産に登録された中世の面影を残す美しい町、サン・テミリオン。町の名は、8世紀にこの地の洞窟に隠遁した僧侶聖エミリオ (Saint Emilion) にちなんで名づけられています。この地の石灰と粘土からなる土壌や地形はワインの醸造に適しており、エミリオに付き従った僧侶たちが、販売も視野に入れたワインの醸造を行うようになりました。
そして現在、ドルドーニュ川右岸のサン・テミリオンは、ジロンド川左岸のメドック地区と双璧をなすボルドーの高級赤ワイン産地です。カベルネ・ソーヴィニョン種主体のメドックのワインが、繊細で優雅であるのに対し、メルローとカベルネ・フラン種の葡萄から造られるサン・テミリオンのワインは、タンニンが少なく、豊かな香りと、こくと、まろやかさを持っており、ボルドーながらブルゴーニュに似ているとも言われています。また、ワイン愛好家にとって嬉しいことは、サン・テミリオンには、有名ではなくとも、高水準のワインを比較的入手しやすい価格で生産しているシャトーが数多くあることです。
ボルドー右岸最大のワイン銘醸地サン・テミリオンには、AOCサン・テミリオンを持つシャトーだけでも1000近くありますが、これらは二つの地域に大別されます。
一つ目のグループは、「グラーヴ(Graves)」と呼ばれる北東部のポムロールとの境界沿いの砂混じりの台地にあり、ここでは主にカベルネ・フランが栽培されます。このグループで最も有名なものが、シャトー・シュヴァル・ブランです。また、後述する最新の2022年格付けで、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに昇格したシャトー・フィジャックもこのグループの中にあります。
もう一つのグループは、「コート(Cotes)」と呼ばれるサン・テミリオンの街を囲む石灰岩の区域で、サン・テミリオンの丘とパヴィの丘の斜面や台地には主にメルローが栽培されます。このグループで最も有名なものが、シャトー・オーゾンヌです。また、2012年にプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに昇格し、2022年格付けでもその地位を保ったシャトー・パヴィはこのグループの中にあります。
サン・テミリオンの格付けは1955年に制定されたもので、四つのクラスに分類されていますが、その後10年ごとに見直しが行われており、2012年格付けでは次のようになっています。
☆「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA」 Premier Grand Cru Classes A : 4シャトー
☆「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセB」 Premier Grand Cru Classes B :14シャトー
☆「グラン・クリュ・クラッセ」 Grand Cru Classes:64シャトー
☆「グラン・クリュ」 Grand Cru:約200シャトー
この中で特筆すべきことは、1955年の制定以来、シャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル・ブランの2シャトーの指定席であった最上位の「第一特別級A」に新たにシャトー・アンジュリュスとシャトー・パヴィが昇格し、4シャトーとなったことです。
サン・テミリオンはメドックと異なり、10年ごとの格付けの見直しが行われることから、各シャトーは昇格あるいは維持を目指して経営努力を重ねており、今後の切磋琢磨による更なるレベルアップが期待されます。
☆最新2022年のサン・テミリオン格付け発表!!
1955年からスタートして今回が7回目となる最新2022年のサン・テミリオンの格付け発表が2022年9月8日に行われました。
その結果、最高位の「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA」は、従来の4シャトーから減って、[シャトー・パヴィ]とこれまでの「プルミエ・クリュ・クラッセB」から新たに昇格した[シャトー・フィジャック]の2シャトーのみとなり、「プルミエ・クリュ・クラッセB」は、シャトー・フィジャックの昇格と1シャトーの辞退により12シャトーとなり、これまでとは大きく異なる格付け結果となりました。これは、サン・テミリオン格付けの存在の意義が問われる状況と言っても良いかもしれません。
今回の2022年の格付け発表の前に関係者を驚かせたことは、別格の存在とされたシャトー・オーゾンヌとシャトー・シュヴァル・ブランの2シャトーが、2021年7月に審査基準を理由に格付けに参加しないことを表明したことでした。また、シャトー・アンジェリュスも共同経営者の格付けを巡る裁判結果を不服として格付けから撤退。従って、「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセA」には、2012年に昇格したシャトー・パヴィだけが残る事態となっていました。その後、シャトー・ラ・ガフリエール、シャトー・キノー・ランクロ、シャトー・クロック・ミショット、などが続々と格付け申請を取り下げ、辞退を表明しました。
比較的公平性があると言われたサン・テミリオン格付けでしたが、これまでも見直しの度に、格付け制度をめぐりさまざまな裁判が行われ、格付けの正当性をめぐる議論が続いています。サン・テミリオンの格付けは試飲評価、畑の潜在性、メディアでの評価、醸造設備などさまざまな評価軸を基にしていますが、審査内容にはワインの中身でない項目も多く、ワインの品質やテロワールが軽視されすぎているとの不満が生産者側に強くあり、これが紛争の原因の一つになっているようです。
試飲評価にはじまり、テロワール、栽培・醸造、価格に名声まで、格付けを公平に、正確に定めるのがいかに困難かということが、今回複数の実力シャトーが格付けから辞退したことからもうかがうことができます。
元々サン・テミリオンには格付けに全く興味を持たず、独自の路線を歩むフランソワ・ミジャヴィル氏率いる[シャトー・テルトル・ロートブッフ]やポムロールのル・パンを所有するジャック・ティエンポン氏が「サン・テミリオンのル・パン」を目指して2010年に設立した[シャトー・リフ]等の優良シャトーが多数存在しており、シャトー・オーゾンヌ、シャトー・シュヴァル・ブラン、シャトー・アンジェリュス等著名な実力シャトーが辞退した今回の格付け見直し以降、サン・テミリオンの格付けとワインについて、ワイン専門家も消費者もどのように変わるのでしょうか。また、次回の格付けはどのようになるのでしょうか。サン・テミリオンからしばらく目が離せません。
ル・プティ・シュヴァル ブラン2018 [シャトー・シュヴァル・ブラン]
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