ブルゴーニュ屈指の名門グロ家嫡流のドメーヌ

 【ドメーヌ・ミシェル・グロ】

  〜Domaine Michel Gros〜


 ヴォーヌ・ロマネのワインを語るときに欠かせない名門中の名門、グロ家ですが、ヴォーヌ・ロマネには、”グロ”の名前を冠するワインが4つ存在します。

 グロ家の歴史は1804年生まれのアルフォンス・グロが1830年にドメーヌを設立したことに始まり、その息子ルイ・グロが19世紀半ばにはドメーヌ元詰めワインを販売し、家業を発展させます。

 ルイ・グロにはジャン、フランソワ、ギュスターヴ、コレットの4人の子供がいましたが、1963年のルイ・グロの引退時に4人の子供が2組に別れ、グロ家の畑は二つのドメーヌに分割されます。1つはギュスターヴとコレットによる「グロ・フレール・エ・スール」。もう1つが、ジャンとフランソワによる「グロ・ペール・エ・フィス」です。 更に、後者の「グロ・ペール・エ・フィス」は1973年、2人がそれぞれ独自にワイン造りをすることで再分割され、ジャンが設立したドメーヌが「ジャン・グロ」、フランソワが設立したのが「フランソワ・グロ」となります。

このあたりの事情は文章では分かりにくいので、補足説明として当ページの最下部に「グロ一族の家系図とドメーヌの継承図」を作成・掲載しておりますので、そちらをご覧下さい。

 この中で、グロ一族の名声を今日のように高めたのはドメーヌ・ジャン・グロでした。彼はとても独創的・革新的な人物で、畑の拡張や機械化の促進など、様々な革新を試み、醸造方法の開発に貢献した人でしたが、1995年に引退し、ミシェル、ベルナール、アンヌ・フランソワーズの3人の子供に畑を分配しました。

 ドメーヌ・ミシェル・グロは、ルイ・グロの長男ミシェル・グロが父から相続した畑を基に設立されたドメーヌで、ブルゴーニュの名門グロ一族の本家を継ぐ嫡流と言える存在です。

 ミッシェル・グロは父が病気であったこともあり、1970年代より父ジャン・グロと共にワイン造りを続け、1995年にドメーヌの建物とモノポールのクロ・デ・レアを始めとする4haを相続し、六代目の当主となります。そしてこれを基に葡萄畑を購入したり賃借して、ドメーヌを強化・拡大し、現在は下の一覧表の通り、約17haの畑を所有しています。また、ドメーヌでは公式HPで、下の通り、所有畑の地図を公開しておりますので、併せてご確認下さい。

 ドメーヌ・ミシェル・グロの看板ワインは面積2.12haの単独所有畑(モノポール)のヴォーヌ・ロマネ一級クロ・デ・レアで、グロ家は1860年に取得以来このモノポールの畑が分割されないよう守ってきており、このクロ・デ・レアの分割を防ぐため、相続ではリシュブール等の特級畑を他の兄弟に譲っています。 また、ドメーヌに唯一残る特級畑クロ・ド・ヴージョには、特級畑グラン・ゼシェゾーと隣接する最良の小区画グラン・モーペルテュイの中に僅か0.2haの畑を持っています。

 当頁最下段掲載のグロ家家系図でお分かりいただける通り、このミシェル・グロが所有するグラン・モーペルテュイの0.2haの区画はかつてミシェル・グロの父ジャン・グロとアンヌ・グロの父フランソワ・グロの兄弟が共同で運営していたドメーヌ・グロ・ペール・エ・フィスが所有していたものが分割されたものであるため、ドメーヌ・アンヌ・グロの0.93haの区画と隣り合っており、両ドメーヌともこの有名な小区画の名を付けた「クロ・ヴージョ グラン・モーペルテュイ」の名称でリリースしています。

  特級畑クロ・ド・ヴージョとモノポールの一級畑クロ・デ・レアがドメーヌ・ミシェル・グロを代表するワインですが、これ以外にドメーヌのラインナップの中でコスト・パフォーマンスに優れたレジオナルのオート・コート・ド・ニュイも見逃せません。

 オート・コート・ド・ニュイ(Hautes-Cotes de Nuits)は、「高地のコート・ド・ニュイ」の意味の通り、コート・ド・ニュイの斜面に向かって西になだらかに続く標高300m〜400mの台地の上にある畑で、その範囲は北端のヴェルジからオート・コート・ド・ボーヌとの境界線上に位置するマニ・レ・ヴィレまで19の村に広がっています。

 下に、オート・コート・ド・ニュイのおおよその範囲がわかる地図を掲載していますので、ご確認下さい。銘醸畑群が連なるコート・ド・ニュイの著名な村々の西に広がる標高の高い台地がオート・コート・ド・ニュイで、INAOがこのアペラシオンを認めたのは1961年のことです。

 名門グロ一族の創始者であるアルフォンス・グロ氏は、1804年にオート・コート・ド・ニュイのショー村(ニュイ・サン・ジョルジュの西)に生まれ、1830年にヴォーヌ・ロマネにやってきて、今日のグロ家の隆盛の礎を築きました。

 従って、グロ家の人々にとってオート・コート・ド・ニュイは、「祖先の地」とも言える地区であることから、この地への思い入れは強く、特にグロ家嫡流のドメーヌ・ミシェル・グロは父のジャン・グロ時代から開拓を始め、今ではアルスナン村を中心に10.24haの畑所有しており、この地区での先駆的生産者となっています。

 このオート・コート・ド・ニュイの中でも単一畑として独立させた次の二つの区画名付きのワインがコスト・パフォーマンスに優れたお値打ちワインです。まず一つめの「オート・コート・ド・ニュイ フォンテーヌ・サン・マルタン」は、当主ミシェルが父ジャンの意志を継承し40年の歳月をかけて造り上げたモノポール区画で、19世紀末のフィロキセラの被害によって葡萄畑が壊滅して以来、畑の大部分が森に還っていたものを、1976年に父ジャンが開拓を始め、続いてミシェルが畑の再建に着手し、年数を掛け葡萄を植栽し、ついに2014年からモノポールとして赤と白のワインをリリースしたものです。

 また、2016年に新たにリリースした「オート・コート・ド・ニュイ オー・ヴァロン」は、マレイ・レ・フュッセイ村で造られるミシェル・グロの新たなキュヴェで、所有する区画は、標高が425〜440mと高く、南向きで太陽の恵みを存分に受けています。1978年から徐々に畑を購入しはじめ、今では3haを所有。植樹も当時から徐々に行っており、平均樹齢も30年に達しています。

 ミッシェルの造るワインは比較的高温発酵で、葡萄の持つ要素を最大限引き出しており、そのためワインはとてもエレガントな味わいのワインに仕上げられています。

 なお、名門グロ家でも世代交代が進んでおり、現在ミシェル氏の子息ピエール氏が7代目当主に就任しています。

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【補足説明】グロ一族の家系図とドメーヌ継承図について

 

 名家グロ一族は現在4つのドメーヌに分かれていますので、それぞれの設立経緯と当主の相関図を理解するために、次のとおり「グロ一族の家系図とドメーヌ継承図」を整理し、掲載しました。

 各ドメーヌの看板ワインのエチケットも併せて掲載していますので参考にして下さい。

  上のエチケットは左から順に、[Domaine Anne Gros]、 [Domaine Michel Gros]、

[Domaine Anne-Francoise Gros]、 [Domaine Gros Frere et Soeur]です。

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