ワインの店エトワール

　【JM.ゴビヤール】

　　〜JM.Gobillard et Fils〜

　エペルネから 5 キロ離れたシャンパーニュの中心部に位置するオーヴィレール村は、1681 年頃に ドン・ペリニヨンが最初のシャンパーニュの泡を生み出した修道院のある比類のない場所です。このベネディクト修道士のおかげで、オーヴィレール修道院は、『シャンパーニュ発祥の地（Le berceau du Champagne=シャンパーニュのゆりかご）』となり、オーヴィレール村はこの地域全体で最も有名な村になりました。

　そして、2015年7月4日にシャンパーニュの象徴的な場所であるオーヴィレール村と修道院等を含む『シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ』は、ユネスコの世界遺産『進化を遂げる生きた自然景観のカテゴリー』に登録されました。

　そのドン・ペリニヨンゆかりのシャンパーニュの聖地オーヴィレール修道院周辺一帯の葡萄畑と1800年に造られた地下カーヴを今に受け継ぐのが、［JM.ゴビヤール・エ・フィス社］で、下の地図の通り、この村の象徴であり、ドン・ペリニヨンの墓のあるオーヴィレーヌ修道院のすぐ隣に居を構えています。

　シャンパーニュ・メゾン［ JM .ゴビラール・ エ・ フィス］の歴史は比較的新しく、創設者ジェルヴェ・ゴビヤールが独立を決意し、なけなしの貯金をはたいてドン・ペリニヨンの村オーヴィレールに 1 ヘクタールの葡萄畑を購入した 1933 年に遡ります。

　彼は葡萄とワインに対する情熱を息子のジャン・マリーに受け継ぎました。1955年、ジャン・マリーと妻のフランソワーズはワイン醸造所を設立し、事業を拡大。これによりゴビヤールのシャンパーニュの人気はますます高まり、葡萄畑は徐々に拡大され、1982年にはメゾンの葡萄畑は8ヘクタールになっていました。

　創設者のジェルヴェからジャン・マリー、そしてその子供たちに至るまで、3代にわたって徹底的に品質重視のシャンパーニュ造りを続けているゴビヤール家。［信頼性、独創性、卓越性］がこの家族経営を貫いてきたメゾンの信条で、今日もその価値観は同じであり、葡萄栽培からマーケティングまで、シャンパーニュの伝統を尊重しながら注意深く管理されています。

　現在では、30 ヘクタールの自社葡萄畑と、ノウハウに基づいて選ばれたワイン生産者との 125 ヘクタールの収穫契約により、年間150万本のシャンパーニュを生産し、その 50% が主に輸出されており、フランスで最も歴史と権威があり、発行部数の多いワイン専門誌［ギ・ド・アシェット(Le Guide Hachette des vins)］や［ベタンヌ・エ・ドゥソーヴ(Bettane & Desseauve)］など、多くのワインメディアで毎年高い評価を獲得し、ハイクオリティのシャンパーニュを高いコストパフォーマンスで世に送り出す秀逸な生産者として、偉大なシャンパーニュ・ ハウスの一つに数えられています。

　現在、「ドン・ペリニョン」の商標はモエ・エ・シャンドン社が所有し、他社は一切使用を許されていませんが、『聖地』オーヴィレール修道院の周りの畑は、モエ・エ・シャンドン社とゴビヤール社の２社のみが所有していることやゴビヤール社とオーヴィレール修道院の関係から、唯一このゴビヤール社のみがドン・ペリニョン修道士の肖像画をラベルに使うことが許されており、『もう一つのドン・ペリ』と呼ばれている実力派の生産者です。

　このような経緯で、今日ゴビヤールのシャンパーニュのラベルの左側には、このドン・ペリニョン修道士の肖像画が描かれており、ドン・ペリニヨンの姿を刻んだボトルが、聖地の誇りと品質の高さを物語っています。『聖地のシャンパーニュ』ともいうべきゴビヤールのシャンパーニュは、ドン・ペリニョン修道士のエピソードとともにこれからの華やかなパーティーシーンに彩を加えてくれる事でしょう。

　JM.ゴビヤールは、上の写真の通り、豊富な商品ラインナップを誇りますが、日本では定番銘柄のスタンダード・キュヴェ［ブリュット・トラディション］を除き、豊通食料様が年に一回インデント輸入するのみですので、それ以外の銘柄は、あまり多くは流通しておりませんが、今回当店では次の三つのユニークなキュヴェをご案内いたします。いずれも当店が商品リストの中から厳選して発注し、2023年9月下旬に豊通食料様を通じてインデント輸入（事前予約輸入）されたもので、価格面でもお買い得価格となっております。

　JM.ゴビヤールは、2015年10月に、アルバンヌ、プティ・メリエ、ピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエをブレンドした［キュヴェ5（Cuvee5）］を限定4000本、初めて発売しました。

　このプロジェクトは、2004 年に、ほとんど忘れられていた古代品種の葡萄アルバンとプティ・メリエを0.1 ヘクタールに植えることから始まりました。前回初めてリリースされたプルミエ・クリュ・シャンパーニュの中でも 5 つの葡萄品種から作られたこのユニークなシャンパーニュは、口に含んだ瞬間に魅惑的で、豊満さ、緊張感、しなやかさ、活力、そしてフィネスを明らかにし、驚きを引き起こしました。

　セラーで5年間熟成させたこの並外れた新しいキュヴェは、キュミエール、オーヴィレール、ディジーの村にある自社の葡萄畑で作られますが、中でも、アルバンヌとプティ・メリエはシャンパーニュの葡萄畑から事実上姿を消しており、完全に成熟した数少ない稀な年にのみ収穫できます。メゾンではこの4000本造られた［キュヴェ5］を『これまでに作られた中で最も希少なものの真髄』と表現し、リリースしました。

　そして、今回ご案内の［キュヴェ6（Cuvee6）］は、前回の5品種に新たにピノ・ブランを加えてブレンドした新商品で、ピュアでフローラル、フィネスに溢れ、生き生きしたミネラル感が特長で、ドサージュは、5g/リットルです。6品種が主張をしながらも見事に調和して生み出された独特のアロマティックなスタイル は、2023年にJMゴビヤールが挑戦的に世に送り出した唯一無二の味わいです。

　厳選された単一品種、単一区画、単一年をコンセプトに造られるヴィンテージ・シャンパーニュで、［エローグ・デュ・シャルドネ（シャルドネへの賛美）］のキュヴェ名の通り、2016年産のシャルドネ100％で造るブラン・ド・ブランです。このワインはデゴルジュする前にセラーで約8年間熟成させ、ワインと酵母との長時間の接触により、ワインに第 3 の香りが発生します。

　鮮度が保たれたこのキュヴェは、エキゾチックなフルーツの繊細な香りがブリオッシュの香りとエレガントに混ざり合った、魅惑的でフルボディのリッチで力強いワインです。

　このブラン・ド・ブランは、食前酒や白身魚を使った食事に最適で、ロブスターやシーフードとの組み合わせにも最適です。ドサージュ4g/リットル

　メゾンの中でも特別感のある［プリヴィレージ・デ・モワンヌ（修道僧の特権）］。僧侶を意味するそのキュヴェ名から"シャンパーニュの父"への敬意と、堂々たる風格が漂います。

　228リットルのブルゴーニュ樽にてバトナージュを行いながら一年間樽熟成されるスペシャル・キュヴェ。ヴァニラのような香ばしい香りと厚みのある複雑な味わいが魅力。ドサージュ7g/リットル。セパージュは、シャルドネ70％、ピノ・ノワール30％。