1687年から12代に渡り家族経営を貫くRMのパイオニア

ゼロ・ドサージュから単一畑で造る稀少キュヴェまで、高品質で個性溢れる魅力的な商品ラインナップを誇り、高い支持を受けるシャンパーニュ・メゾン

 【タルラン】

  〜Tarlant〜


 タルランは、1687年から12代に渡り家族経営を貫くレコルタン・マニピュランです。1687年、ピエール・タルランがエーヌ県で葡萄栽培を始めたことから、タルラン家の長い歴史が始まりました。その後、1780年にルイ・タルランとその妻マリー・マドレーヌがエペルネに程近いヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区のウイィ村に本拠を移し、自分たちの土地に植樹を始めます。これが、現在まで受け継がれているシャンパーニュ・タルランの畑の始まりです。

 1911年にシャンパーニュ・タルランを設立したルイ・アドリアン・タルランは、第一次世界大戦で壊滅状態に陥った葡萄畑を一から作り直し、妻ジュリアとともにファーストキュヴェを造ることを決め、1928年に瓶詰めを開始し、1929年にリリースされたキュヴェはカルト・ブランシュと呼ばれ、フランス市場で大いに成功を収め、これによりタルランは大きく発展していきました。

 1972年からはジャン・マリー・タルランと妻ミシュリーヌがメゾンを継ぎますが、ジャン・マリー・タルラン氏は、シャンパーニュ委員会の技術部門責任者やフランス葡萄ワイン技術研究所のシャンパーニュ部門会長などを歴任した人物で、その豊富な経験が、テロワールの特徴の表現と環境への敬意を表すシャンパーニュ造りに反映されており、4つにまたがる合計14haの畑を所有し、55の区画ごとのポテンシャルを最大限に活かすためビオロジック栽培を行っています。

 タルランでは、収穫した葡萄は、上質な果汁を得るために厳しい選果の後に優しくプレスし、発酵は主にオーク樽を用います。そのため、タルランのシャンパーニュはしっかりとした骨格を有し、アロマの正確さが際立った仕上がりとなります。またドサージュを極力控えることで、葡萄のピュアな魅力を表現し、レコルタン・マニピュランのパイオニアとして高い品質を保ち続け、ワイン評論家や有名レストランのソムリエなどから高い支持を受けています。

 タルランの商品ラインナップは、ドサージュ・ゼロで仕上げる「ゼロ・ブリュット・ナチュール」「ロゼ・ゼロ・ブリュット・ナチュール」等のノン・ヴィンテージからテロワールに着目し、単一畑で造る稀少なヴィンテージ・シャンパーニュの「ラ・ヴィーニュ・ドール」「ラ・ヴィーニュ・ロワイヤル」”フラン・ド・ピエ(接ぎ木されず自根を持つ)のシャルドネ”で造り、「死ぬまでに飲みたい30本のシャンパン(山本昭彦著、講談社)」にも選ばれた「ラ・ヴィーニュ・ダンタン」、曽祖父へのオマージュとして造られる「キュヴェ・ルイ」、更にピノ・ブラン、プチ・メリエ、アルバンヌなど滅びかけた古代品種のブレンドで造る「バム!」まで、実に豊富で、レコルタン・マニピュランらしく個性溢れる品揃えを誇ります。

 タルランでもう一つ特筆されることは、上の写真の通り、各キュヴェのボトルのバック・ラベルに、「土壌タイプ、ベースとなるワインのヴィンテージ、瓶詰の日付、デゴルジュマンの日付」等、当該シャンパーニュについての必要なデータを記していることで、これも自社の商品への自信の現れとも言えるのではないでしょうか。これ程の情報開示をしている造り手は他にはあまり見当たらず、全てのシャンパーニュ・ハウスがこれをモデルとすべきだと書いている専門誌もあります。

 現在は、ジャン・マリー・タルラン氏の長男で12代目となるブノワ・タルラン氏が中心となり運営していますが、1976年生まれのブノワ氏はメゾンへ入る前に、「O.I.V.(Office International de la vigne et du vins=国際ぶどう&ぶどう酒機構)」に在籍していた他、世界中のワイン産地を訪れて見聞を深め、教養と柔軟な考え方を身に着けており、1999年にメゾンに参画後は、その経験と大胆さがタルランの伝統に新風を吹き込み、次々に新しいキュヴェを産み出し、ますます進化を続けているタルランです。

 今回当店でご案内するタルランの各銘柄とその特徴は次の通りです。

☆キュヴェ・ルイ・ブリュット・ナチュール[Cuvee Louis Brut Nature]

 1982年に父ジャン・マリー・タルランによって造られたトップ・キュヴェの「キュヴェ・ルイ」は、曽祖父ルイ・アドリアン・タルランにちなんで名付けられました。0.9ヘクタールの単一区画レ・クレイヨンに1946年〜1948年に植えられた古樹の葡萄を使い、15年の瓶内熟成後、ノン・ドサージュで造られ、バランス、力強さ、豊かさ、成熟、すべてが特別な逸品です。今回のロットは、2002年と2003年のピノ・ノワール50%、シャルドネ50%の混醸で、瓶詰は2004年3月、デゴルジュマン(澱抜き)は2019年2月です。

☆ラ・ヴィーニュ・ダンタン ブリュット・ナチュール [La Vigne d'Antan Brut Nature]

 「ラ・ヴィーニュ・ダンタン」(昔ながらの葡萄樹)は、シャンパーニュ全域で唯一継ぎ木をしていない自根のシャルドネが植わるウイィ村の区画「レ・サーブル」に植えられたシャルドネ100%で造られるブラン・ド・ブランです。「サーブル=砂」という名が示す 通り、砂質土壌のためフィロキセラの難を逃れた畑で、自根を持つシャルドネの樹"franc de pied"(アメリカ台木に接木していない)が大きな特徴です。シャルドネ本来の豊かな香りがあり、羽毛の様に優しい口当たりと余韻が長く続きます。ブノワ・タルランによって2000年に生み出されたこのキュヴェは19世紀に消えた今は無き本来のシャルドネの香りを持つ“激レアの珍品アイテム”で、2004年が待望の二度目のリリースです。今回のラ・ヴィーニュ・ダンタンの葡萄の収穫は2004年10月、瓶詰は2005年5月、デゴルジュマンは2018年3月です。ご参考までに、著名なワイン・ジャーナリスト山本昭彦氏著の「死ぬまでに飲みたい30本のシャンパン(講談社)」の中に選ばれています。

☆ラ・ヴィーニュ・ドール ブリュット・ナチュール ブラン・ド・ムニエ[La Vigne d'Ore Brut Nature Blanc de Meunier]

  「ラ・ヴィーニュ・ドール」は、ヴァレ・ド・ラ・マルヌの「ピエール・ド・ベルビュー」と呼ばれる単一の区画のスパルナティア粘土土壌に植えられたピノ・ムニエの区画からのピノ・ムニエ100%の珍しいブラン・ド・ノワールです。葡萄樹の樹齢は65年で、ブノワの父方の祖父、ジョルジュ・タルランによって植えられました。 今回のラ・ヴィーニュ・ドールの収穫は2004年9月、瓶詰は2005年5月、デゴルジュマンは、2018年3月です。

☆ラ・ヴィーニュ・ロワイヤル[ La Vigne Royale Brut Nature]

 「ラ・ヴィーニュ・ロワイヤル」は、ラ・ヴィーニュ・ダンタン、ラ・ヴィーニュ・ドールに続く新たなテロワール・シリーズのキュヴェで2003年ヴィンテージが初リリース。かつてフランス王室の宮廷人が好んでおり優れたピノ・ノワールの栽培地として古い歴史を持つセル・レ・コンデ村の"モック・トノー "と呼ばれる40度もある急斜面の単一区画にタルランの母方の祖父モーリスが1972年に植えたピノ・ノワール100%で造られるブラン・ド・ノワーです。「コンデ」というのはアンリ4世の前の王の名前で、村の名前「セル・レ・コンデ」は「コンデ王のカーヴ」があったことに由来しており、 そのためシャンパーニュ名も「王のシャンパーニュ」を意味する「ラ・ヴィーニュ・ロワイヤル」となっています。今回のラ・ヴィーニュ・ロワイヤルの収穫は、2003年9月、瓶詰は2004年5月、デゴルジュマンは2018年3月です。

☆プレスティージュ・ミレジム・ラエリエンヌ[Prestige Millesime L'Aerienne Brut Nature]

 2004年は葡萄はゆっくり熟成し、収穫は9月の終わりに行われました。樽で6ヶ月熟成し、瓶詰は2005年5月、その後約12年の瓶熟成後、2017年2月にデゴルジュマンされ、ノン・ドサージュで仕立てられています。アロマが豊かでバランスがとれた味わいは、ほとんど空気のように軽やかであることから“ラエリエン=空気”という名がつけられました。シャルドネ70%、ピノ・ノワール30%のセパージュで、バランスのとれた傑出した味わいのラリエンヌは、2004年限定のキュヴェ名で、4000本造られました。

☆バム ブリュット・ナチュール[BAM! Brut Nature]

 バム(BAM)!」は、ピノ・ブラン(Pinot Blanc18%)、アルバンヌ(Arbanne18%)、プティ・メリエ(Petit Meslier64%)の頭文字から名付けられたシャンパーニュの古代品種による混醸キュヴェです。三種類の古代品種の葡萄の木は、2003年にオイリーのフォー・ア・ショー・サブレにある、シリカを多く含む石灰岩の砂質土壌に植えられ、タランの他の畑と同様に有機栽培の認定を受けています。エネルギー感に満ち、アグレッシヴな酸が印象的で口の中で『バン!』と爆ぜる様な感覚が新しいユニークなシャンパーニュです。収穫は2010年9月、瓶詰は2011年5月、デゴルジュマンは2018年3月、ノン・ドサージュで1200本造られています。

☆ロゼ・ゼロ ブリュット・ナチュール[Rose Zero Brut Nature]

 「ロゼ・ゼロ ブリュット・ナチュール」は、シャルドネ50%、 ピノ・ノワール44%、ピノ・ムニエ 6%ピノ・ムニエで造られます。これらはヴァレ・ド・ラ・マルヌのオイリー近くの4つの村にある63の区画で、有機栽培された葡萄を手摘みして造られますが、ブノワはロゼを造るには、ワインの半分近くを占める完璧なピノ・ノワールを作ることに重点を置いています。ノン・ヴィンテージですが、今回のロットは2013年ヴィンテージをベースとし、瓶詰は2014年5月、デゴルジュマンは2018年9月、ノン・ドサージュで造られています。

☆ゼロ ブリュット・ナチュール[Zero Brut Nature]

 「ゼロ ブリュット・ナチュール」は、1/3シャルドネ、1/3ピノ・ノワール、1/3ピノ・ムニエで、造られ、タルランの生産量の70-90%を占めるタルランの顔とも言うべきスタンダード・キュヴェです。有機栽培の手摘みの葡萄の果実は、4つの村(Oeuilly、Boursault、St-Agnan、Celles-lès-Condé)の62のタルランの区画すべてから収穫されます。今回のロットは、2012年をベースとし、瓶詰は2013年5月、デゴルジュマンは2019年7月で、ノン・ドサージュで仕上げられています。

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