「新樽の魔術師」の異名を持ち、熟成して初めて真価を発揮する長熟タイプのワインを造るジュヴレ屈指の造り手の一人

トップ・キュヴェの特級シャルム・シャンベルタンを筆頭に5銘柄のプルミエ・クリュとヴィラージュにレジオナルを所有するパーカー5ツ星生産者

【ドメーヌ・セラファン ペール・エ・フィス】

  〜Domaine Serafin Pere et Fils〜


 

 ドメーヌの歴史は、創業者シュタニラウス・セラファンが第二次世界大戦後の1947年に、シャルム・シャンベルタンの畑を買ったことに始まります。 彼は1930年にポーランドから移住してきた木工職人でしたが、この畑を手に入れたのを機会に栽培農家に転身し、1957年からは息子のクリスチャンも加わり、徐々に発展を続けてきました。

 当初はネゴシアンにワインを売っていましたが、1970年から徐々にドメーヌワインとして販売するようになり、1987年には100%ドメーヌ元詰めワインになりました。そして、1988年にクリスチャンが2代目当主としてドメーヌを継ぎ、1990年代にはジュヴレ・シャンベルタン村以外にシャンボール・ ミュジニー村やモレ・サン・ドニ村の畑も手に入れ、今では約5.3haの畑を所有し、「新樽の魔術師」の異名を持つジュヴレ・シャンベルタン屈指のスター・ドメーヌの一つとなっています。

 葡萄栽培では、『健康でクオリティの高い葡萄を育てること』を大事にし、自然環境を尊重した栽培方法を行い、収穫は全て手摘みで、選び抜かれた葡萄のみを使用して、除梗は約70%実施。ステンレスタンクにて低温浸漬を行い、しっかりとした色合いと華やかなアロマを抽出します。自然酵母により時間かけてゆっくり発酵させ、櫂入れを行うことで、さらに風味とタンニンを抽出、他の生産者よりも高い新樽比率(AOCブルゴーニュで約50%、村名で約70%、村名V.V.以上で100%)で熟成を行います。

 また、熟成に使用する木樽はフランソワ・フレール、 タランソー、セガン・モロー、シャッサンなど複数の大手樽会社から仕入れ、特定の樽業者やオーク材が採れる森と個々の畑の性格を上手に組み合わせることに大変な知恵が絞られており、例えばエレガントな味わいのル・フォントニーは柔らかい味わいに仕上がるアリエ産の樽を、また長期熟成を要し、より力強い味わいのシャルム・シャンベルタンとレ・カズティエには、その味わいを支える強さを持つトロンセ産の樽を使用ししています。

 この新樽率の高さと樽使いの巧みさが「新樽の魔術師」と呼ばれる所以ですが、ワインがこれほど高い新樽に耐えられるのも、葡萄の品質が極めて高いためです。つまり、通常の葡萄ではここまでの樽熟成に耐えるだけの力強さがなく、樽に負けてしまいますが、セラファンの畑での厳格な作業から生まれる低収量で、力強く凝縮した葡萄は、樽との素晴らしい調和を見せることができ、その結果、ストラクチャーのしっかりした、力強いタンニンと酸を兼ね備える堅牢なワインとなるのです。

 このようにして造られるセラファンのワインは、どのヴィンテージでも一貫して素晴らしく、極上の滑らかさと深遠な果実味の複雑さは、ワインラヴァーの心をつかんで離さず、著名なワイン評論家ロバート・パーカー氏はジュヴレ・シャンベルタンの傑出した造り手として、五つ星生産者の評価をしました。

 所有するアペラシオンは上の所有畑一覧表の通り、唯一所有する特級シャルム・シャンベルタンを筆頭に、ジュヴレ・シャンベルタンの一級レ・カズティエ、ル・フォントニー、レ・コルボー、シャンボール・ミュジニー一級レ・ボード、モレ・サン・ドニ一級レ・ミランドの5つの一級畑、村名ジュヴレ・シャンベルタンのヴィエィユ・ヴィーニュとノーマル、そして僅か0.4haのブルゴーニュ・ルージュと、小規模ドメーヌながら多彩なラインナップを誇ります。

 トップ・キュヴェの[特級シャルム・シャンベルタン]は、二つの区画からなり、ひとつはシュタニラウスが買ったシャルム区画、もうひとつはクリスチャンが手に入れたマゾワイエール区画のもので、合わせて0.31haの畑を所有し、葡萄の樹齢は70年にもなる古木です。熟成は当然新樽100%で保管状態が良ければ40年経ってもまだ若々しさを保つほどのポテンシャルがあります。ジャスパー・モリス氏は、その著書ブルゴーニュワイン大全の中で、『猛烈に力強いワインで、あたかも全ての葡萄がシャンベルタンで採れたかのようである。豪華極まりない黒系果実が口内を覆いつくす一方で、オーク風味が長期熟成に必要な骨格を与えている』と絶賛しています。

 所有する五つの一級畑の中では、ドメーヌのすぐ裏に位置する約0.2haの区画で樹齢約50年の[ジュヴレ・シャンベルタン レ・カズティエ]の評価が最も高く、ジャスパー・モリス氏は、同じくその著書の中で、『セラファンのワインはいずれも力強いが、レ・カズティエは優雅さも備えており、果実味の密度がずば抜けており、洗練されたワイン』と、ロバート・パーカー氏は『シャルム・シャンベルタンとレ・カズティエがドメーヌの傑出した作品』と、それぞれコメントしています。

 また、トップ・キュヴェの特級シャルム・シャンベルタンと共にセラファンの名を高らしめているキュヴェが、[ジュヴレ・シャンベルタン ヴィエィユ・ヴィーニュ]です。所有する村名格ジュヴレ・シャンベルタンの畑の中でも「Au Bellé(オ・ベレ)」、「Vignes Belles(ヴィーニュ・ベル)」、「En Champs(アン・シャン)」など、国道74号線の西側の一級区画に隣接する古木を中心に7区画の葡萄が使われています。

 コート・ドールで最も面積の広いアペラシオンであるジュヴレ・シャンベルタンでは3分の2を村名格畑が占めますが、そのうちの約半分は国道74号線の東側の平坦地に位置しており、国道74号線西側で、特級・一級畑群下に隣接する村名格畑とはテロワールに差があると言われています。つまり、国道74号線は、「高品質なワインを造る斜面の下部における境界線」、換言すれば、ジュヴレの村名格畑のいわば「分水嶺(西側>東側)」として一般的には考えられているのです。(勿論、東側にもラ・ジュスティス等の例外的に優れた村名格畑も幾つか存在します。)

 この[ジュヴレ・シャンベルタン ヴィエィユ・ヴィーニュ]の広さは合わせて約1ha、樹齢は約60年で、1920年植え付けの葡萄樹も多く含まれており、100%新樽で熟成され、ヴィラージュ・ワインながら『優れたヴィンテージであれば、10年の熟成で丁度飲み頃』と言われる長熟型のワインです。

 一方、ヴィエィユ・ヴィーニュとは別に仕立てられる通常版の[ジュヴレ・シャンベルタン]は、国道74号線に近い場所(東側と西側が混在)に位置する「Roncevie(ロンスヴィ)」、「Aux Etelois(オー・エトロワ)」、「Creux Brouillard(クルー・ブルイヤール)」など5区画の葡萄が使われます。広さは合わせて約1.6haで樹齢は約30年、新樽率は70%になります。酸味が素晴らしく、果実味豊かで透明感があり、渋味も滑らかでタッチが柔らかくなりやすいので、ヴィンテージによってはレジオナルのブルゴーニュ・ ルージュよりも早く飲むことができ、長期熟成型のセロファンのラインナップの中で最も早く楽しめるワインです。

 ドメーヌの最下位キュヴェの[ブルゴーニュ・ルージュ]は、国道74号線の東側に位置するレジオナル区画の「Pressonniers(プレソニエ)」と「Pruniers(プルニエ)」の2区画の約0.4haの畑に植えられた樹齢約35年のピノ・ノワールを新樽率50%で造るもので、甘いイチゴのアロマ、果実味と酸がしっかりしていて、凝縮感もあり、タニックな仕上がりで、同じ蔵の通常版のジュヴレ・シャンベルタンよりも飲み頃が遅いとされる人気キュヴェです。

 上述のように書き進めると、セラファンの「ドメーヌの規模(葡萄畑所有面積)」、「葡萄畑での仕事重視の姿勢」、「古樹の葡萄による長期熟成タイプのワイン造り」、「トップ・キュヴェのシャルム・シャンベルタン、ジュヴレ・シャンベルタン一級レ・コルボー、ジュヴレ・シャンベルタンV.V.、ブルゴーニュ・ルージュへと連なるポートフォリオと商品ラインナップ」等は、同じジュヴレの秀逸な造り手ドニ・バシュレとの共通点を感じます。両者の同じ銘柄の飲み比べも面白そうですね。

 

 1940年生まれのクリスチャンは、ドメーヌの後継者として共に働いてきた息子ロイックを2002年、事故で亡くしました。そして、2012年に引退し、現在は、3代目として、クリスチャンの娘カリンヌとその従姉妹で同じ年のフレデリック・グーレイの二人がドメーヌを運営しています。カリンヌが販売・管理を、フレデリックが栽培・醸造を担当していますが、カリンヌは2006年から、フレデリックは、ボーヌの学校で専門知識を習得後、1999年からドメーヌでクリスチャンと共に働き、2003年からは栽培、醸造ともに担当しています。

 ワイン醸造に関しては、つくりはクリスチャンのつくりを踏襲しつつも、畑でのビオロジック農法の採用や樽の焼き加減を軽めにするなど独自の工夫を加え、クラシックながらピュアで長熟なタイプのワインを生み出しています。高齢で引退したとはいえ、クリスチャン氏は娘と姪の良き相談相手あるいはアドバイザーとして今なお、お元気のようで、女性当主二人での運営となってからもセラファンのワインは、一流評論家やレストラン、ブルゴーニュ愛好家からの評価も高く、ジュヴレのトップ・ドメーヌの座を保っています。

 現在、畑での作業はビオロジックに近く、認証は取っていないものの、作業自体はビオロジックそのものです。瓶詰には出来るだけ月の運行カレンダーに従い、月の沈むタイミング、かつ、フルーツの日に瓶詰するようにしています。 しかし、ビオやビオディナミの認証を取るつもりはないそうです。

 セラファンのワインは、数年の瓶熟を経ることで、タンニンが丸くなり、香りも開いてきて、純粋な果実味とテロワールの個性が表れ、本質が見えてきます。高い新樽率にも動じない、ジュヴレらしいパワフルさは、熟成して初めて真価を発揮するのです。

 輸入元資料には、『時間に余裕がある人は、買ったら10年ほど忘れてしまったほうが、より幸せな結果を得られるはずだ。』とコメントされており、上級クラスは早飲みせず、寝かしておくことをお薦めします。

 とは言え、実際にはご自身での長期間の保管は、熟成までの忍耐とコスト負担を強いられることとなり、なかなか大変ですが、セラファンの場合、この点で朗報がございます。セラファンでは、近年当該ヴィンテージのワインを全てリリースするのではなく、約1/3ほどをドメーヌのセラーで保管し、5〜6年後にバック・ヴィンテージとしてレイトリリースしています。このようなワインを小分けにするトランシェ販売(トランシェ=薄切り)は、ボルドーでは普通であるものの、一般的なブルゴーニュの生産者の台所事情からすると、家族経営かつ生産本数が極めて少ないので、その一部を取りおくような資金的な余裕やカーヴ(貯蔵庫)の余裕がないため、ブルゴーニュにおいては非常に珍しいことです。

 当主のカリンヌは、その理由を、『好コンディションの飲み頃の時期のワインが欲しいというレストランやお客様のニーズに応えるため』とインタビューで答えています。従って、セラファンのレイトリリースされた蔵出し正規品のバック・ヴィンテージは好コンディションで、飲み頃も近く、価格面でもリーズナブルで、お薦めです。

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