ご承知の通り、デュガ・ピィは、いとこのクロード・デュガと共に、ジュヴレ・シャンベルタンに本拠を置く小規模ドメーヌながら、カルト的な人気を誇る造り手で、僅か0.05haで1樽にも満たない特級シャンベルタンを筆頭とする珠玉のワインを造っています。また、デュガ・ピィの畑の葡萄の樹齢は非常に古く、ドメーヌ平均で65年、しかも所有する畑はいずれも極小で、生産量も少ないことでも有名で、ブルゴーニュ愛好家垂涎の入手困難な造り手の代表格となっています。
そんなジュヴレ・シャンベルタンを本拠地とするデュガ・ピィですが、近年コート・ド・ボーヌのシャサーニュ・モンラッシェやムルソーにも進出し、秀逸で稀少な白ワインを造っています。そして、本拠地ジュヴレ・シャンベルタンでも、ほんの僅かな区画にシャルドネを植えて、白ワインを造っています。それが、こちらのブルゴーニュ・ブランです。
レジオナルのブルゴーニュ・ワインとは言え、使われている葡萄はジュヴレ・シャンベルタン村の国道74号線の東にあるプレソニエール[Pressonnier]という畑のものです。プレソニエールには村名格の区画とレジオナル区画があり、ここで赤を造るとヴィラージュとレジオナルの二種類ができ、赤ではジョセフ・ロティのものが有名ですが、ジュヴレ・シャンベルタンは赤のAOCですから、プレソニエール区画で造る白は全てレジオナルのブルゴーニュ・ブランとなります。
通常の造り手の場合、レジオナルとなるブルゴーニュ・ルージュやブルゴーニュ・ブランは俗に裾物と呼ばれ、生産量が多いのが普通ですが、実はデュガ・ピィのブルゴーニュ・ブランは、たった2樽(約600本)しか造られないため、知る人ぞ知る稀少人気ワインで、なかなか市場で見ることができないのです。
デュガ・ピィのブルゴーニュ・ブランは、この稀少性に加え、インポーターの資料にも「デュガ・ピィらしく果実の凝縮感に富み、グレープフルーツやピーチなどエキゾチックなアロマを持ち、ヘーゼルナッツの香ばしい風味も折り重なり、充実度が高い」と紹介されており、品質もレジオナルの域を超えたものです。
こちらは、最新ヴィンテージ2019年の「ブルゴーニュ・ブラン2019」です。
2019年のヴィンテージ評価はまだ出揃っていませんが、各種ヴィンテージ・レポートによれば、『2019年は4月の気温低下による霜害、初夏の天候不順に伴う花ぶるいや結実不良、更に、夏の酷暑と水不足により、収量は2018年より25%〜35%減少するものの、陽射しに恵まれて、収穫された葡萄の熟度は高く、酸も豊かであることから品質は極めて良好で、年号末尾に「9」の付く年は優良年というジンクスは守られる』とのことです。しかし、残念なことに、11月恒例開催のオスピス・ド・ボーヌの競売会で顕著だったように、『2019年産のワインの品質は優れているものの、生産量が減少していることから、価格は2018年より高めとなる』旨も報告されています。