酒神バッカスのエチケットで有名な1859年設立の老舗大手ネゴシアン

自前の畑を所有し、自らワインを醸造・販売する巨大ドメーヌに変貌

 【ルイ・ジャド】

  〜Louis Jadot〜


 ワインに馴染みのない方でも、縁取りが施された酒神バッカスの顔と、淡いイエローのエチケットのルイ・ジャドのワインを見たことのある方は多いと思います。1859年設立の大手ネゴシアンであるルイ・ジャドは買い葡萄による大量生産でリーズナブルな価格でブルゴーニュワインの普及に努めてきたこともあり、ドメーヌ物ではないネゴシアン物として一段落ちるイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。

 しかし、今日大手ネゴシアンは以下に記載したように大きく変貌を遂げ、もはやネゴシアンとは呼べない状況になっています。

 第一次世界大戦の戦禍に世界恐慌が加わったワイン不況の1930年代に一部でドメーヌ元詰めが開始されます。当初は小さなドメーヌの販売力が大きなネゴシアンに及ぶはずはなく、ネゴシアンの優位は1980年頃まで続きます。しかし、1980年台以降、秀逸なドメーヌ物のワインを集め、世界的に販売するクルティエが登場すると同時に、「自らの手で葡萄を育て、醸造、元詰めまで一貫して造られたドメーヌ物のワインの方が優れているに違いない」と考えるワイン愛好家たちに支えられて、フランス国内外市場で徐々に頭角を現し始めます。

 この事態に及んでネゴシアンも傍観することができなくなりました。これまで高品質な葡萄を供給してくれていた栽培農家が次々にドメーヌ元詰めを始めれば商売あがったりになるからです。従って、このドメーヌ元詰めワインに対抗するためには、「自分たちで管理できる自前の葡萄畑の規模を広げ、設備投資や優秀な醸造家を雇用し、ワインの品質を高めるより他に方法はない」と考え、ネゴシアンのドメーヌ化が加速していきます。もはや従来のように「買い葡萄による大量生産」ではないのです。「広大な銘醸畑を所有し、自ら高品質のワインを醸造・販売し、世界にブルゴーニュワインの魅力を知らしめる」ことが今日の大手ネゴシアンのポリシーであり、このダイナミズムは潤沢な資金と葡萄栽培やワイン醸造・販売について高度のノウハウを持つネゴシアンならではのものと言えるでしょう。

 現在では、逆にドメーヌがビジネスの規模を広げるために、ネゴシアンを並行して運営する例も増えており、もはやネゴシアンとドメーヌの垣根は取り払われたと言えます。

 このあたりの事情は美術出版社発行のワイン専門誌「ワイナート66号」(ブルゴーニュ・ネゴシアンの今)で詳述され、下の写真の通り、ルイ・ジャドについても掲載されています。

 上述のような背景もあり、ルイ・ジャドはドメーヌ化を進め、現在ではコート・ドール地区に所有する自社畑は210haにも達し、そのほとんどがグラン・クリュとプルミエ・クリュで占められており、最新の醸造設備と卓越した醸造責任者ジャック・ラルディエール氏を擁するまさに「巨大ドメーヌ」になるとともに、優れた品質のワインを提供するネゴシアン・エルブールとしても高い評価を受けている存在となっています。なお、2013年にジャック・ラルディエール氏に代わり、シャトー・ド・シャサーニュ・モンラッシェの栽培醸造責任者を経て2010年にルイ・ジャドに入社したフレデリック・バルニエ氏が最高醸造責任者に就任しています。

 ルイ・ジャドの所有する代表的な畑は、ブルゴーニュを代表する特級畑シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、ミュジニー、ボンヌ・マールなど多数、また一級畑では5名の所有者しかいないクロ・サン・ジャックや人気No.1のレ・ザムルーズなどの銘醸畑がラインナップされています。

 これらの畑は、その所有形態に応じて、「ドメーヌ・デ・エリティエ・ルイ・ジャド」、「ドメーヌ・ルイ・ジャド」、「ドメーヌ・ガジェ」、「ドメーヌ・デュック・ド・マジェンタ」等に分かれ、それぞれワインのラベルに明記されています。

 このような綺羅星の如き銘醸畑の中にあってルイ・ジャドの最古の自社畑であり、フラッグ・シップワインとして特別な存在の畑が、ボーヌ一級クロ・デ・ズルシュールです。このクロ・デ・ズルシュールは、ボーヌの一級畑レ・ヴィーニュ・フランシェの畑を囲む壁の一角にある2.75haの小区画で、400年にわたってウルスラ修道院が所有してきた由緒あるものです。

 フランス革命を機に民間に払い下げになった1826年にルイ・ジャド創設者のルイ・アンリ・ドゥニ・ジャドが購入し、1859年のルイ・ジャド設立と共に引き継がれ、同社のモノポールになっています。畑を所有するのは、ドメーヌ・デ・エリティエ・ルイ・ジャドで、ルイ・ジャドの看板ワインとしてテロワールに最大限の敬意を払って造るボーヌ一級畑最高峰のワインです。

 ブルゴーニュワイン大全の著者ジャスパー・モリス氏によれば、このクロ・デ・ズルシュールは、「緻密で大きなボディを備え、並外れて深い香りがあり、芳醇で心地よい果実味が鼻をくすぐる。口に含むと風味豊かな香りがさらに開く」と絶賛しています。また、長期熟成することでも知られます。

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