フランス理工系最高学府での学識と元ルフレーヴの醸造責任者としての実践経験を兼ね備えた現代ビオディナミ農法の第一人者が醸す理想のワイン

2021年初ヴィンテージの世界のブルゴーニュ愛好家が待ち望む稀少キュヴェ

【アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ】

  〜 Antoine Lepetit de La Bigne〜


 アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏は、1977年生まれで、フランスの理工系最高学府であるエコール・ポリテクニークで分子生物学を修め、農学・葡萄栽培学・ワイン醸造学の学位を取得、 更にアグロ・パリで農業技師、アグロ・モンペリエで葡萄栽培と醸造学の修士号取得した葡萄の栽培から醸造までの専門知識を有するエリート科学者です。

 アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏のワインへの情熱は学問の領域にとどまらず、1997年には、フィリップ・ブルギニョン氏(1978年フランス最優秀ソムリエ)にワインテイスティングを教わり、2005年にアルザスのウンブレヒトでオーガニックとビオディナミの葡萄栽培を学んで実践し、2007年からはピュリニー・モンラッシェの名門ドメーヌ・ルフレーヴで8年間醸造責任者を務め、アンヌ・クロード・ルフレーヴ氏の右腕として活躍し、ビオディナミ農法への転換を推し進めました。

 その後2015年のアンヌ・クロード・ルフレーヴ氏の死去を機にルフレーヴを去り、オーガニック・ビオディナミのコンサルタントとして国際的に活躍し、フランス理工系最高学府等での学識とルフレーヴ等での実践経験を兼ね備えた現代ビオディナミ農法の第一人者としての地位を確立しました。

 ルフレーヴで働いていた2014年には「35 questions sur la biodynamie(ビオディナミワイン35のQ&A)」を上梓しましたが、この本にはDRCの共同経営者オベール・ド・ヴィレーヌ氏が序文を寄せるなど、ビオディナミについて分かりやすく説明したものとしてヴィニュロンからワイン愛好者まで高い評価を受けた本で、2015年に白水社から日本語翻訳版、更に2017年には中国語翻訳版も出版されていますので、この著者としてのアントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏の名をご存じの方もいらっしゃると思います。

 また、日本でも下の写真の通り、2023年冬発行の日本美術出版社のワイン専門誌「ワイナート111号(シン・ブルゴーニュ特集)」に、ブルゴーニュの新しい造り手として掲載されています。先祖代々からの畑と栽培・醸造技術を継承してきたヴィニュロンが大多数を占める中にあって、アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏は異色の存在で、閉鎖的なブルゴーニュに風穴をあける新たな潮流「シン・ブルゴーニュ」の旗手として大きく紹介されていますので、この記事を通してご存じの方も多いでしょう。

 そのアントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏が、自身の会社[ラ・ピエール・ロンド(LA PIERRE RONDE)]を設立し、ボーヌの賃貸式醸造施設を借り、2021年ヴィンテージに満を持して自らの名前を冠したワイン造りをスタートさせました。

 自分の畑は所有しておらず、ブルゴーニュの新しいネゴシアン形態である、「マイクロ・ネゴシアン(Micro Negociant)」あるいは「ネゴシアン・ヴィニフィカトゥール(Negociant Vinificateur)」と呼ばれるもので、樽、フードル、アンフォラなどさまざまな容器を使い、非常に優しく手作業で造られた『果実味溢れ、ピュアーで生き生きとした、アペラシオンの個性が引き出されたワイン』は、たちまち大評判となり、フランスで最も影響力のあるワインガイドブック「ル・ギド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス(Le guide des meilleurs VINS de France)」の2024年版(2023年8月発行)にも初掲載されました。初ヴィンテージの造り手がこのガイドブックに掲載されるのは極めて異例なことです。

 かくして、初ヴィンテージとなった2021年の白ワイン7銘柄、赤ワイン2銘柄の合計1万本は、生産量が僅かであったことから日本への割当も少なく、正にあっという間に市場から姿を消してしまうほどの人気となりました。

 アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏は自身の畑を所有していませんが、長年ブルゴーニュで働いた経験やコンサルタントとしての指導経験から優れた葡萄栽培家を熟知しており、オーガニック・ビオディナミ農家を中心に高品質の葡萄を購入し、テロワールを尊重した醸造を行っています。ルフレーヴでの醸造責任者として働いてきたこともあり、初ヴィンテージの2021年は白ワインに特化したかったようですが、霜害で思うように葡萄が入手できず、赤ワインも2銘柄造るようになったようで、やはり白の方がリリース銘柄が多く、また人気も、より高いようです。

 ここで、『ビオディナミ農法はワイン造りの醸造、熟成、瓶詰の過程でも活用されるのか?』との質問をお持ちの方も多いと思います。アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏は、上述のその著書「ビオディナミワイン35のQ&A」の中で、このように答えていますので、以下、一部要点を抜粋・引用します。

『ビオディナミは農法であり、葡萄畑の作業の話です。このため、かつては葡萄栽培だけを規定対象としていましたが、2009年以降、収穫から瓶詰までの醸造過程をカバーするガイドラインを示すようになりました。そのガイドラインを要約すると、苦労してビオディナミ農法から得た様々な特性を、醸造過程で消してしまわないこと、つまり、理想的には、ビオディナミ農法の葡萄から造り、醸造、熟成、保存段階で添加物を加えないワイン造りをすることにあります。しかし、亜硫酸や酵母・砂糖添加等はまだ議論の決着がついておらず、この領域はまだまだ未発展です。』

 アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏は、収穫後の葡萄がワインになる段階にビオディナミが関わるのは当然だと考えていますので、最新ヴィンテージの2022年のワインには、亜硫酸を不使用とした他、天体のリズムを適用し、ビオディナミカレンダーの「果実の日」に瓶詰をするなど、醸造過程へのビオディナミ技術の応用に努めており、今後の更なる進化・発展が期待されます。

 また、公式インスタグラムを見ると熟成中の2023年の樽には、「クロ・ド・ヴージョ」や「ジュヴレ・シャンベルタン」の文字が書かれた樽もあり、2023年ヴィンテージ以降は、コート・ド・ニュイの赤ワインもリリースされるようで、今や世界のブルゴーニュ愛好家がアントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ氏のワインを待ち望んでいますが、全ての作業を一人でこなし、職人的なワイン造りを目指していることから、2022年の総生産本数も2万本程度で、なかなか入手が難しい稀少ワインとなりそうです。

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