長熟型シャブリを造る最高峰生産者が、フランソワ・ラヴノーとヴァンサン・ドーヴィサですが、同じ古典的スタイルのシャブリ造りの路線を歩むのが、「ドメーヌ・ジェラール・デュプレシ(カーヴ・デュプレシ)」です。
現在は、先代ジェラール・デュプレシの息子のリリアン・デュプレシが経営を引き継ぎ、2007年からビオロジック栽培に移行し、2010年には認証を取得するなど様々な変化が見えています。
ジェラール・デュプレシが所有する畑は、約8haの比較的小規模なドメーヌですが、シャブリ最高特級畑レ・クロを筆頭にモンテ・ド・トネル等の優れた五つの一級畑と村名シャブリの畑を持っていることからシャブリのラインナップは大変充実しています。
こちらの商品は最新ヴィンテージ2021年のジェラール・デュプレシのトップ・キュヴェ[シャブリ特級レ・クロ2021]です。
シャブリの7つの特級中で最大かつ最良の畑が面積26.96haのレ・クロであることは衆目の一致するところですが、最大の所有者は4.11haを持つウィリアム・フェヴレで、ジェラール・デュプレシは南を向いたレ・クロの斜面中腹に僅か0.3haの区画を所有するのみです。
一般的に収量が多いシャブリでは葡萄の寿命が短く、老木を目にすることはあまりないのですが、ジェラール・デュプレシのレ・クロの区画には1964年植樹の樹齢50年を超える幹が見事な太さに育っています。
ジェラール・デュプレシのレ・クロは、この古樹と典型的なキンメリジャン地層の粘土石灰質土壌と理想的な日照条件とが合わさって完成する長期熟成型の偉大な特級シャブリです。
大変嬉しいことに、ジェラール・デュプレシのシャブリは、ヴァンサン・ドーヴィサやフランソワ・ラヴノーと同じ長期熟成を可能とする古典的スタイルの路線でありながら、価格面では大変リーズナブルなお値打ち品です。しかし、ブルゴーニュ地区より更に緯度の高いシャブリ地区では、近年霜害や雹害に襲われ、特にシャブリ最高の特級畑レ・クロは元々生産量が少ないことから、常に品薄な状態で入手が難しいワインとなっています。
また、ジェラール・デュプレシでは、冬を2回越すと瓶詰めされますが、瓶詰め後もしばらく熟成させ、リリアンたちが飲み頃に入ったという感触を得るまでは出荷されないことが多いため、ドメーヌからの出荷も他ドメーヌと比べて少し遅めです。自分で寝かせる必要がなく、飲み頃が近い点もワイン愛好家にとっては嬉しい点で、数多いシャブリ生産者の中にあってお薦めの造り手です。
シャブリの2021年ヴィンテージは、コート・ドール同様に、過酷な気象の変化が相次いだ厳しい年で、4月の霜に始まり、7月と8月初旬の悪天候でさまざまな病気が発生し、収量は減少しましたが、栽培家の努力と8月の乾燥した天候のおかげで最悪の事態は食い止めることができ、糖と酸のバランスはブルゴーニュワインの愛好家が好む典型的なものとなったようです。