数あるサン・テミリオンのシャトーの中で、格付けに頼らず独自の道を歩む孤高のシャトー

“ボルドーのブルゴーニュ”と例えられるシャトー・テルトル・ロートブッフを筆頭に サン・テミリオンを中心に生まれる珠玉の5つのワイン

【シャトー・テルトル・ロートブッフ】

(ファミーユ・ミジャヴィル)

           〜Chateau Tertre Roteboeuf (Famille Mijaville)〜


 ファミーユ・ミジャヴィルの当主フランソワ・ミジャヴィル氏が、義父から相続したサン・テミリオン南東部の高台にある地所からシャトー・テルトル・ロートブッフの生産を始めたのは1978年のことで、それを飲んだ愛好家に大きな衝撃を与えました。

 それ以来、フランソワ・ミジャヴィル氏は、このシャトー・テルトル・ロートブッフを[サン・テミリオンのシンデレラシャトー]、あるいは[カルト・サン・テミリオン]と評価され、 『テルトル・ロートブッフを飲まずしてメルローを語るなかれ』と言われる程の右岸のトップ・シャトーとなるまでに育て上げた立役者です。それ以来、[ボルドー右岸の名手]、あるいは[メルロのスペシャリスト]としてのミジャヴィル家の歴史が始まります。

 

 サン・テミリオンには10年毎に更新される有名なサン・テミリオンの格付け制度がありますが、数あるサン・テミリオンのシャトーの中で、格付けに頼らず独自の道を歩む孤高のシャトーがテルトル・ロートブッフで、著名なワイン評論家ヒュー・ジョンソンとジャンシス・ロビンソンの共著「世界のワイン」の中でも、シャトー・テルトル・ロートブッフについて、『1980年代の初期に、公式な格付けを求めずに、品質と人気を限界まで高めたシャトー』として紹介しており、生産量も少なく、いまや世界中から引く手あまたの生産者となっています。

 ちなみに最新の2022年サン・テミリオン格付けでは、これまで別格の地位にあったシュヴァル・ブランとオーゾンヌ、そしてそれに続く位置にいたアンジュリュスの3シャトーが格付けの審査基準を不服として格付けから撤退しており、格付けの意義は半ば失われたような状況にあります。その点でも当初から格付け制度に興味を持たず、これに頼ることなく独自の道を歩んできたミジャヴィル氏の方針は慧眼と申せます。

 フランソワ・ミジャヴィル氏は、シャトー・フィジャックにて、伝説的なオーナー、ティエリー・マノンクールの元でワインメーカーとして働いた経験を持っています。 フランソワにとって「偉大なワインは熟成から」であり、実際、全ての果汁はマセラシオン後、新樽に移され、 その後全ての行程は新樽の元で行われ、樽熟も2〜3年にわたります。

 ファミーユ・ミジャヴィルはその傘下にシャトー・テルトル・ロートブッフを筆頭とする下の五つシャトーを所有していますが、どのシャトーも1銘柄しか造りません。つまり、セカンドワインがないのです。これは全体をアッサンブラージュしたものが、その土地の味わい、 ヴィンテージの特徴だという哲学を持つためで、造りのコンセプトはいずれのワインも同じで、違いはそれぞれの土壌やクリマ、そのヴィンテージの要素を加味し対応をわずかに変えるという事のみです。

 収穫は極力遅らせ、果実が過熟になるすぐ手前の状態まで熟し、かつ、フレッシュさを失っていないピンポイントの時点で収穫します。明日収穫すると決めたら1〜2日ですべて収穫を終え、葡萄の選別は畑で行い、直ちに除梗、破砕せずに発酵槽へ入れ、最高に熟した高品質の葡萄のみがワインとなります。

 フランソワ・ミジャヴィル氏は、流通を完全に管理するため、シャトー・テルトル・ロートブッフを始めとするワインを伝統的なボルドーのネゴシアン システムでは販売せず、輸入業者や販売業者に直接販売していたため、これまでは日本ではあまり流通していませんでしたが、2019年ヴィンテージからラックコーポレーションが日本での正規輸入代理店に指定され、ファミーユ・ミジャヴィルの5銘柄のワインの取り扱いが開始されました。

次に所有する五つのシャトーとワインをご紹介いたします。

【シャトー・テルトル・ロートブッフ(ファミーユ・ミジャヴィル)】

〜Chateau Tertre Roteboeuf (Famille Mijaville)〜


【シャトー・テルトル・ロートブッフ】

 テルトル ・ロートブッフは、シャトー・トロロン・モンドやシャトー・パヴィの近くの石灰岩の台地の端に位置しており、葡萄畑の面積は5.7ヘクタールで、80%のメルローと20%のカベルネ・フランが植えられています。葡萄の樹齢は平均40年以上で、収量は非常に低く抑えられており、生産量は2000ケース(24,000本)です。また、偉大なワインは熟成させてこそ偉大なワインとなることを哲学とし、新樽100%での熟成期間は最長24か月にも及びます。

 畑は水はけと日当たりに優れた南西斜面にあり、円形競技場のように窪地となっているため凹面鏡の働きで日光を集め、周囲の畑より気温が高く、葡萄が熟しやすいと言われます。葡萄栽培では、サンテミリオンでは珍しいコルドン方式を採用し、地熱の恩恵を受けるために株を低く仕立て、かつ光合成を最大限にするために樹冠を高くしています。更に他のシャトーから1週間以上収穫を遅らせることで、完全に熟した葡萄を使うことがテルトル・ロートブッフの特徴です。グリーンハーヴェストなど人的な介入による葡萄の凝縮は拒否し、古木ならではの自然な凝縮感が、ワインに伸びのある軽やかさと力強さをもたらします。

 

 [テルトル・ロートブッフ(Tertre Roteboeuf)] という名前は、直訳すると[げっぷをする雄牛の丘]というユニークな意味になります。当初は、ラテン語で丘の上の高所を指す“ル・テルトル”の区画をその名としていましたが、敷地に続く坂は非常に急なので、屋敷の農地で牛が鋤を引き、喘ぎながら急な斜面を苦労して耕していたことから、その意を表す“ロートブッフ”を付け足し、名をテルトル・ロートブッフとした経緯があります。

 

  メルロ80%にカベルネ・フランを20%加えた、絶妙なハーモニーが特徴で、粘土石灰質の土壌とそこに植わる古樹の完熟した葡萄から、ストラクチャーのしっかりとした、豊かで味わい深いワインが産み出されます。 どのヴィンテージにも共通する特徴は、濃く美しい色と熟れた果実の深い香りと豊かなアロマで、それは時とともに美しく進化し、肉付きが良く、美しい味わいはしばしば、“ボルドーのブルゴーニュ”、と形容され、サン・テミリオン最上ワインのひとつとして世界の注目を集めています。

【シャトー・ロック・ド・カンブ(ファミーユ・ミジャヴィル)】

〜Chateau Roc de Cambes (Famille Mijaville)〜


【シャトー・ロック・ド・カンブ】

 

 シャトー・ロック・ド・カンブは、1987年にフランソワが買収した、ジロンド河右岸のコート・ド・ブール地区の北に位置する10haのシャトーです。 畑は、ブールの城塞から東に300メートルほど行ったところにあり、ジロンド河を見下ろす、3つ並んだコート・ド・ブールの畑の最初にある南向きの上部斜面にある古くからの畑は、粘土質石灰岩土壌で、円形競技場のような形をしています。

 ジロンド河の水の影響で日差しが和らげられ、寒暖の変化がなだらかである為、適切な光合成がなされ、素晴らしい葡萄が収穫されます。 トレ・ヴィエーユ・ヴィーニュ(樹齢約45年)を含んだ畑は、メルロ(75%)、カベルネ・ソーヴィニョン(20%)、マルベック(5%)で構成され、出来上がったワインはリッチで果実味があり骨組みがしっかりした長熟型です。テルトル・ロートブッフとは同じ哲学で造られ、兄弟シャトーのような関係にあり、AOCは、コート・ド・ブールです。

【ドメーヌ・ド・カンブ(ファミーユ・ミジャヴィル)】

〜Domaine de Cambes (Famille Mijaville)〜


【ドメーヌ・ド・カンブ】

 シャトー・ロック・ド・カンブの下部斜面に位置しているドメーヌ・ド・カンブは、ジロンド河に接しているため、土壌は粘土が多い石灰質土壌で、ジロンド河の流れが泥土を増やし、土壌の鮮度を保持する長い生育サイクルを可能にしているため、収穫は遅く、パワフルなワインが生まれます。

 栽培品種はメルロー65%、カベルネ・フラン30%、マルベック5%で、ロック・ド・カンブよりしなやかでありながら濃縮したタイプのワインは、 果実味に溢れ、長期熟成にも向いたワインです。AOCはボルドーとなります。

【ロラージュ(ファミーユ・ミジャヴィル)】

〜L'Aurage (Famille Mijaville)〜


【ロラージュ】

 父親と同じ哲学を持つフランソワの息子ルイ・ミジャヴィル氏がサン・テミリオンに近いアペラシオンを捜し、2007年に「シャトー・カデ」に魅了され購入し、「ドメーヌ・ド・ロラージュ」 と改名しますが、 その後2009年に 「ロラージュ」 と再度名を改めました。

 コート・ド・カスティヨンは、サン・テミリオンの斜面に続く丘陵地帯で、メルロー97%、カベルネ・フラン3%で構成されるロラージュは、テルトル・ロートブッフと比べると、より地中海性で涼しい気候であることから、長い生育期間が特徴で、味わい深く高い人気を誇るワインです。

【ル・ヴェルサン(ファミーユ・ミジャヴィル)】

〜Le Versant (Famille Mijaville)〜


【ル・ヴェルサン】

 

 2019年が記念すべき初ヴィンテージで、日本にも今回が初入荷のワインです。AOCは、カスティヨン・コート・ド・ボルドーで、サン・テミリオンとの 境界線にあるサン・ジェーヌ・ド・カスティヨンの高台に位置する畑は、メルローにとって理想的な長い生育期間が可能で、ワインに濃厚な味わいを 与えます。

 

 畑の面積は20haで、メルロー90%、カベルネ・フラン5%、カベルネ・ソーヴィニョン5%で構成されるル・ヴェルサンは、緻密で柔らかいタンニンが特長です。このワインのみステンレスタンクとセメントタンクが用いられますが、コンセプトはミジャヴィルの他のワインと同一です。

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