ブルゴーニュ最大の特級畑である面積50.96haのクロ・ド・ヴージョは、一般的には教皇の畑と言われていた上部の区画が優れていると考えられていますが、実際にはそれほど単純ではなく、畑全体に斜面の麓から上部にかけてなだらかな傾斜や波のようなウネリがあり、場所ごとにテロワールは微妙に異なっているようで、例えば最も優れた(価格面でも最も高価な)クロ・ド・ヴージョを産み出すドメーヌ・ルロワも所有畑の約半分は下部の区画にあります。
フランス革命で1790年に畑が没収されるまで、シトー会修道院が全て所有していたクロ・ド・ヴージョは、ロマネ・コンティやシャンベルタンと並び称されていた銘酒でしたが、これは単一テロワールがもたらしたものではなく、様々な小区画から生まれるワインを寄せ集めてブレンドするというシトー会修道士たちのボルドー的な熟練した技術にあったとされています。
ですから、やはり最終的には、小区画の位置だけではなく、畑の耕作と葡萄の栽培・剪定、収量・選果そして醸造技術の腕前が品質を左右する要因となります。
ロマネ・コンティとラ・ターシュに挟まれた稀有のモノポール「ラ・グランド・リュ」で知られるドメーヌ・フランソワ・ラマルシュはクロ・ド・ヴージョに立地条件の良い四つの区画で合計1.35haの面積のまとまった畑を所有しています。
その内二つの区画はクロ・ド・ヴージョ城のすぐそばに、他の一つは特級畑エシェゾーと接する古区画プティ・モーペルテュィ内にあるという好立地で、残りの一つは下部ですがルロワと近接した所にあり、これらをブレンドすることで、素晴らしいクロ・ド・ヴージョを造っています。
フランソワ・ラマルシュのクロ・ド・ヴージョの所有面積は1.35haで、約80人の所有者中12番目の地主で、比較的大きい畑を所有しており、フランソワ・ラマルシュのクロ・ド・ヴージョはコスト・パフォーマンスの高いお勧めの一本です。なお、クロ・ド・ヴージョの歴史や所有者の区画図の等の詳細は当店HPトップ画面のカテゴリー「ブルゴーニュ銘醸畑詳細と区画図【クロ・ド・ヴージョ】」をご参照下さい。
近年ドメーヌ・フランソワ・ラマルシュは、葡萄畑での作業がより丁寧になっただけでなく、樽の吟味も徹底し、2000年から新しい発酵タンクを導入したこともあって品質が更に安定、同時に葡萄畑の改革も進め、ビオロジック農法を実践し、2010年には所有する畑すべてがビオロジックで栽培されるようになっており、世代交代したラマルシュは、新世代のトップドメーヌの座を不動のものにすると高く評価されています。まさに名実共に偉大な道(グランド・リュ)を歩み始めた注目のドメーヌです。