
特級グリオット・シャンベルタンやシャンベルタン等の所有畑をメタヤージュ契約で貸し出していた形態を解消し、ドメーヌ元詰めを開始。一躍ブルゴーニュ屈指のドメーヌに躍り出たジュヴレ・シャンベルタンの大地主
2021年にアラン・ユドロ・ノエラの当主シャルル・ヴァン・カネット氏が買収し、順次メタヤージュ契約を解消。ラベルも一新したドメーヌ元詰めの開始により新たな時代を迎えるグリオット・シャンベルタン最大所有者
【ドメーヌ・デ・シェゾー】
〜Domaine des Chezeaux〜
「ドメーヌ・デ・シェゾー」の名前をご存じの方はかなりのブルゴーニュ通と存じます。
ドメーヌ・デ・シェゾーは1982年にフランソワ・メルシェによって設立されました。ドメーヌの名前は、ドメーヌの元邸宅に隣接した石垣に囲まれたモノポール村名畑「クロ・デ・シェゾー」に由来しています。
この「クロ・デ・シェゾー」は、下の航空写真の通り、ジュヴレ・シャンベルタンの象徴であるシャトー・ド・ジュヴレ・シャンベルタン施設とそれに付随する現ドメーヌ・アルマン・ルソーのモノポール村名区画「クロ・デュ・シャトー」に北側で隣り合う面積0.5haのモノポール村名畑です。ご参考までに、クロード・デュガが2018年ヴィンテージから単独リリースしている村名格畑「ラ・マリー」は、クロ・デュ・シャトーの南側に隣接しており、この三つの畑はクロ・デュ・シャトーを挟んで、横並びの位置にあります。

メルシェ家は元々葡萄農家ではなく、1928年には既にジュヴレ・シャンベルタン村の大地主で、特級畑[シャンベルタン]、[クロ・サン・ドニ][グリオット・シャンベルタン]やシャンボール・ミュジニー一級畑[レ・シャルム]、ジュヴレ・シャンベルタン一級畑[レ・カズティエ]、[ラヴォー・サン・ジャック]、モノポール村名畑[クロ・デ・シェゾー]等、グラン・クリュ3つを含む7アペラシオン合計約3haの素晴らしい畑を所有しており、中でも特級グリオット・シャンベルタンはクリマ全面積2.73haの中心部に半分以上に相当する1.57haを保有する最大所有者でしたが、自らはワインを造ることなく、ポンソなど著名ドメーヌにこのグリオット・シャンベルタン等をメタヤージュ契約(折半耕作契約)で貸し出していたのです。
具体的には、最大所有者である特級グリオット・シャンベルタン(1.57ha)はポンソとルネ・クレールへ、特級シャンベルタン(0.143ha)と特級クロ・サン・ドニ(0.3776ha)、シャンボール・ミュジニー一級レ・シャルム(0.60ha)はポンソへ、そしてジュヴレ・シャンベルタンの一級畑レ・カズティエ(0.216ha)、一級畑ラヴォー・サン・ジャック(0.13ha)とモノポール村名畑クロ・デ・シェゾー(0.50ha)はドメーヌ・ベルトー(現ベルトー・ジェルベ)にそれぞれ貸し出し、地代の代わりにワインで受取り、そのボトルにドメーヌ・デ・シェゾーのラベルを貼付してリリースをしてきました。
下に特級グリオット・シャンベルタンのポンソとドメーヌ・デ・シェゾーのボトル写真を掲載しておりますが、二つのワインは、ラベルこそ異なるものドメーヌ・デ・シェゾーのワインは著名生産者ポンソが造ったものと中身は同一です。(しかも、知名度・人気度の関係で、ポンソのラベルのワインよりも安価です。)

そのため、ドメーヌ・デ・シェゾーの名は一般的な知名度こそ低いものの、その素晴らしい所有畑と著名生産者がドメーヌ・デ・シェゾーの名前で造る高品質のワインはブルゴーニュの生産者や愛好家の間で高く評価されていました。
そして、この由緒あるドメーヌに2021年に大きな変化が訪れます。このグリオット・シャンベルタンの最大の所有者であるドメーヌ・デ・シェゾーを名門ドメーヌ、アラン・ユドロ・ノエラの当主シャルル・ヴァン・カネット氏が妻アンヌ・ソフィと共同で買収したのです。

ドメーヌ・デ・シェゾーの買収後、カネット氏はメタヤージュ契約者との精力的な交渉を経て、貸し出されていた畑を段階的に回収し、2023年ヴィンテージから新生ドメーヌ・デ・シェゾーの名前で、自らの手によるアラン・ユドロ・ノエラと同じ「完全除梗と穏やかな抽出スタイルを基本とするワイン造り」を開始することとなりました。
このドメーヌ元詰めの開始で、新たな生産者としてのドメーヌ・デ・シェゾーがスタートし、葡萄畑及び醸造施設所有者としてのドメーヌ・デ・シェゾーはこれまで通り継続することとなります。(2025年に新たな醸造施設が完成し、ドメーヌ・アラン・ユドロ・ノエラとは別個に運営されています。)

記念すべき初ヴィンテージとなる2023年ヴィンテージは、上の写真の通り従来のラベルを一新し、[特級グリオット・シャンベルタン]、[ジュヴレ・シャンベルタン一級レ・カズティエ]、[ジュヴレ・シャンベルタン クロ・デ・シェゾー]の3銘柄がリリースされることとなり、これをラックコーポレーション様が正規代理店として新規取り扱いをされることとなりました。(*新生ドメーヌ・デ・シェゾーのボトルの新ラベルについては、当ページ下段で解説しておりますので、そちらをご覧ください。)
メタヤージュ契約のある畑は権利関係も複雑で、既存契約を解消し、畑の回収に至るには中々困難が伴うようですが、カネット氏は見事にこれをやり遂げたようで、その交渉手腕も高く評価されています。詳細は明らかになっていませんが、新生ドメーヌ・デ・シェゾーのグリオット・シャンベルタンの所有面積は1.264haで、これまでポンソとルネ・クレールに貸し出していた面積1.57haから減少していることから、グリオット・シャンベルタンの一部はローラン・ポンソに賃借権があると思われます。また、新生ドメーヌ・デ・シェゾーのラインナップにジュヴレ・シャンベルタン一級ラヴォー・サン・ジャックが含まれていないことから、この区画は従前通り、ドメーヌ・ベルトー・ジェルベに賃借権があると思われます。
上述した通り、2023年ヴィンテージに特級グリオット・シャンベルタン等の3銘柄、続く2024年ヴィンテージ以降には特級シャンベルタン、特級クロ・サン・ドニ、シャンボール・ミュジニー一級レ・シャルムがリリースされるようで、これにより、かつてのメオ家(現ドメーヌ・メオ・カミュゼ)のように、優秀なヴィニュロンを得て、新たにドメーヌ元詰めを開始することになり、これまでの大地主が一躍ブルゴーニュの生産者として躍り出ることになった訳です。
『由緒ある歴史、古樹が植わる希少かつ秀逸な葡萄畑、そしてシャルル・ヴァン・カネットの卓越した栽培・醸造技術。』 この3つを兼ね備えたドメーヌ・デ・シェゾーは、今後ブルゴーニュを代表するトップドメーヌのひとつへ成長すると期待されています。現在は歴史の新しい章が始まったばかりですが、すでに世界中のワイン専門家や愛好家から注目を集めています。
特級グリオット・シャンベルタン 2023 [ドメーヌ・デ・シェゾー]
139,700円(税込)
ジュヴレ・シャンベルタン一級レ・カズティエ 2023 [ドメーヌ・デ・シェゾー]
45,980円(税込)
ジュヴレ・シャンベルタン クロ・デ・シェゾー 2023(モノポール) [ドメーヌ・デ・シェゾー]
18,700円(税込)
ドメーヌ・デ・シェゾーは、2023年ヴィンテージからドメーヌ元詰めを開始し、下の写真の通り、これまでのボトルのラベルを一新して、[特級グリオット・シャンベルタン]、[ジュヴレ・シャンベルタン一級レ・カズティエ]、[ジュヴレ・シャンベルタン クロ・デ・シェゾー]の3銘柄のリリースをいたしました。

多くのお客様は、この一風変わったラベルをご覧になり、「一体、この恐竜の子供のような動物はなんだろう?」とか「なぜこのようなデザインを採用したのだろう?」と、不思議に思われたかと存じます。
輸入元様から説明資料がないので、ボトルのラベルに書かれた文章「NVTRISCO ET EXTINGUO」を手掛かりに調べたところ、これはレオナルド・ダ・ヴィンチら多くの芸術家を保護し、文芸の保護育成に努力した業績によって「フランス・ルネサンスの父」と呼ばれるフランソワ一世王(在位:1515〜1547年)の紋章であり、国王が1538年に設立したフランス国立印刷所の紋章にもなっている神話の生物で、業火とも言うべき火焔のなかを生き抜く「火喰蜥蜴(ヒクイトカゲ=サラマンダー)」であり、その標語の意味は「我は育み、我は滅ぼす」であることが分かりました。
これはフランソワ一世王の治世への情熱と決意(国の繁栄・命運は全て自分にかかっている)を示し、王を称えるもので、メダルや通貨に採用されたり、現在もフランスの幾つかの都市で採用されている標語のようです。
新生ドメーヌ・デ・シェゾーのスタートにあたり、この図柄を採用した意図は、後日当主のシャルル・ヴァン・カネット氏が来日された折にでもうかがってみたいと思いますが、現時点では、カネット氏の「新生ドメーヌ・デ・シェゾーへの情熱と今後の発展への決意の現れ」とご理解いただいて良いのではないでしょうか。


