ブルゴーニュ格付けで一級から特級へ格上げされた数少ない畑

 クロ・デ・ランブレイを実質的にモノポール状態で所有するドメーヌ

 【ドメーヌ・デ・ランブレイ】

  〜Domaine des Lambrays〜


 1935年の制定以来、その格付けはほとんど変わることのなかったブルゴーニュのAOC。その中で一級から特級へ格上げされた数少ない畑がクロ・デ・ランブレイです。

 クロ・デ・ランブレイは1365年には既に[Cloux des Lambrey]の名前でシトー修道院の書類に登場している由緒あるクリマですが、フランス革命の間に国に接収され、細切れにして売られ、1828年の登記公図では75もの小さな区画に分割されるなど、長い間不遇の時代が続き、1935年のAOC法制定時は一級畑にとどまりました。

 その後畑の買い戻しやサイエ兄弟へのオーナーの変更があり、1980年にティエリー・ブルーアン氏が醸造責任者に就任します。その後クロ・デ・ランブレイは目覚ましい品質向上を遂げ、1981年4月27日にAOC法施行後初めて、一級から特級へ昇格を果たしたのですが、これは、ブルゴーニュの長い歴史の中でも史上初の快挙でした。

 ティエリー氏はINAO(国立原産地名称研究所)の技術部門で働いていた栽培と醸造のスペシャリストで、その知識と技術、そして最高のワインを造るという情熱によって、クロ・デ・ランブレイの復活に貢献しました。

 以後、36ヴィンテージものクロ・デ・ランレイを手がけ、ワインメーカーも憧れるレジェンドとなったティエリー氏ですが、2016年ヴィンテージを最後に引退し、その後任としてボリス・シャンピィ氏が選ばれています。

 現在ドメーヌ・デ・ランブレイは、その面積8.84haの畑の99.5%にあたる8.8haを所有しており、モノポールといっても過言ではありません。

 しかし、他生産者がたとえほんの僅かでも畑を所有している以上、モノポールは名乗れず、「カジ・モノポール(Quasi Monopole=ほぼモノポール)」にとどまらざるを得ません。

ドメーヌ・デ・ランブレイにとって、正に「目の上のたんこぶ」にあたるのが、クロ・デ・ランブレイ下部に僅か0.043haの極小区画を所有しているドメーヌ・トプノー・メルムの存在です。

 ドメーヌ・デ・ランブレイでは25年以上にわたって買い取り交渉をしているようですが、相手も秀逸なワインを造っている名門ドメーヌだけに上手くいっていないようです。

 特級畑に昇格したとは言え、1980年代は、「ブルゴーニュの中で最も評価の低いグラン・クリュ」という不名誉な評価をされたこともありましたが、1996年からドイツのフレウント家がオーナーとなると、醸造設備を一新し、若樹の区画を格下げするなど抜本的な改革を推し進めた結果、1990年代後半からはかつての名声を取り戻しました。

 ドメーヌ・デ・ランブレイは、畑の名前と同一の名称であることから、特級畑クロ・デ・ランブレイだけを所有しているように思えますが、実は大変稀少で、秀逸な白ワインの畑を二つ持っています。それが、ピュリニー・モンラッシェの一級畑クロ・デュ・カイユレ(0.37ha)とフォラティエール(0.29ha)で、いずれも1993年にドメーヌ・シャルトロンから購入したものです。

 2014年4月からは高級シャンパン・ブランドを数多く持つ、LVMH( モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)がオーナーとなり、ブランド価値が一層高まっています。

 また、2019年2月からは、ドメーヌ・ド・ラルロの改革で天才醸造家とも呼ばれ、2015年にクロ・ド・タールに移った著名なジャック・ディヴォージュ氏を醸造責任者に迎え、新たな飛躍を目指しています。

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