今やコシュ・デュリ、コント・ラフォンと共に 「ムルソー御三家」と称えられる造り手

 テロワールを尊重し「シルクのよう」 と形容される美しいムルソー

 【ドメーヌ・ルーロ】

       〜Domaine Roulot〜

 ドメーヌ・ルーロは1830年から続く歴史あるムルソーの造り手ですが、1955年生まれの現当主ジャン・マルク・ルーロが舞台役者と映画俳優の道に見切りをつけて、父ギィ・ルーロから6代目当主としてドメーヌを引き継いだのは1989年のことです。

 この人生の転換期が良い選択で、代替わりして以降、純粋さの際立つワインを造り、父の時代の優良ドメーヌを超一流ドメーヌに育て上げ、最高水準に押し上げました。

 その実力はイギリスの評論誌「ザ・ワインズ・オブ・バーガンディ」で3ツ星に選ばれ、今では白ワインの二大巨匠コシュ・デュリ、コント・ラフォンと共に「ムルソー御三家」と称えられているほどです。

 この評論誌で他に3ツ星に選ばれた造り手は、D.R.C、ドメーヌ・ルロワ、コント・ラフォン、ヴォギュエ、アルマン・ルソー、ルフレーヴなど錚々たる顔ぶれですので、ドメーヌ・ルーロの評価の高さは折り紙付きです。

 下の表はドメーヌ・ルーロの所有畑一覧表で、これらは父のギィ・ルーロの代に買い足したものですが、これを見てお分かりの通り、ドメーヌ・ルーロの所有する畑はいずれも小さく、またこれらを区画ごとに仕立てていますので、生産量は非常に少ないものとなっています。

 次に上記のルーロの所有する主要畑を概観してみましょう。

 筆頭に挙げられるのはやはりムルソー最高の一級畑「レ・ペリエール」です。この僅か0.26haの畑はルーロが1976年に取得した畑で、ルーロのラインナップの中で、「王冠の中央のダイヤモンド」に相当すると言われます。

 次に位置するのが、ムルソー最小のプルミエ・クリュで、北をレ・グット・ドール、東と南をポリュゾに囲まれた一級畑「レ・ブシェール」です。ブシェールの畑は東向き斜面で葡萄の熟成が早いことでも知られていますが、ルーロはこの畑から「クロ・デ・ブシェール(Clos des Boucheres)」の名前で「シルクのような口当たり」と称えられる少量の秀逸なキュベを造っています。しかし、所有面積は僅か0.16haと極小区画で、2011年が最初のヴィンテージというルーロのラインナップ中、最も新しい銘柄であるため、バック・ヴィンテージも含め市場ではほとんど見かけることがない稀少ワインです。

 ルーロは区画名のついた村名格畑も幾つか所有していますが、この少量の畑から区画毎に仕立てており、まさに「テロワールの個性を尊重するワイン造り」をしています。

 区画名の付いた村名ムルソーは、いずれも元々生産量が少ない上に、その秀逸さで欧米やフランス国内で人気のため、日本での入手は極めて困難ですが、中でも代表格であり、ドメーヌにとって特別な存在が、「ア・モン・プレジール クロ・デ・オー・テソン(A Mon Plaisir Clos de Haut Tesson)」です。この畑は村名格「ル・テソン」の中にある石垣に囲まれたルーロのモノポール区画となっています。ル・テソンは「ここに土地を所有できた生産者は幸運」と言われるほど評価の高い畑で、テソンの畑の各区画の中は、各生産者が建てた石やレンガ造りの小屋が見られ、独特の景観となっています。特に、ドメーヌ・ルーロの区画の入り口には「 A Mon Plaisir 1890 Clos de Haut Tesson(我が喜びのために 1890年 クロ・デ・オー・テソン)」の銘が刻んであり、これがそのままワイン名となっています。

 この「ア・モン・プレジール クロ・デ・オー・テソン」がドメーヌにとって特別な存在であることを証明するのがボトルに貼られるエチケットです。ドメーヌ・ルーロの全てのエチケットには畑からムルソーの集落を遠望した絵が描かれていますが、これは下の写真の通り、ア・モン・プレジール クロ・デ・オー・テソンの畑からの眺めを絵にしたものなのです。

 これ以外の村名格畑「レ・ティエ」、「レ・メ・シャヴォー」、「レ・ルシェ」等も単独で仕立てられていますが、いずれも生産量が少ないため、ブルゴーニュワイン愛好家垂涎の稀少人気ワインとなっています。

 比較的入手しやすいのが、区画名の付いていない「村名ムルソー」で、立地に恵まれた南側の傾斜部分に位置する「クロ・ドゥ・ラ・バローヌ(Clos de la Baronne)」、 ムルソー一級ポリュゾの下に位置する「レ・クロト(Les Crotots)」、ムルソーの南の一級シャルムのすぐ下に位置する「レ・グリュアッシュ(Les Gruyaches)」の三つの畑の葡萄をアッサンブラージュして造られています。

 ムルソーのアペラシオンでは村名畑の面積は316haもあり、ピュリニー・モンラッシェとシャサーニュ・モンラッシェの村名区画の合計よりも多くなっています。しかもこの広い村名格畑を単にムルソーではなく、区画名をつけて瓶詰しても良いほど上質で、個性的なワインがあります。下の地図はブルゴーニュワイン委員会作成の葡萄畑地図の上にルーロの所有する畑を示しましたので、各畑の位置をご確認下さい。

 下に掲載した地図と写真を見てすぐにお分かりの通り、ドメーヌ・ルーロの区画名付きの村名格畑は、いずれも一級畑群上部の標高280m〜340mの標高の高い丘陵にあり、日照に優れ、冷涼な気候と粘土層から石灰岩層に変化していく土壌の特性が、溌溂とした酸と豊富なミネラルを備えた個性的で秀逸なワインを産み出しています。

 上述したルーロの一級や村名ワインが入手困難な中で、ルーロの素晴らしさを味わう最初のステップとしてのお勧めは2.64haの畑から造る「ドメーヌ・ルーロのブルゴーニュ・ブラン」です。こちらはレジオナルながら、葡萄栽培から醸造まですべて村名ムルソーと同じ造り方ですが、唯一異なるのは澱の上での樽熟の期間が少し短いという点だけです。  しかも葡萄のほとんどはムルソーの畑で採れる葡萄を使用しており、ムルソー村名ワインと変わらない品質を誇る、お得感溢れる白ワインで、ワイン会等でのスターターとして最適な一本です。

 もう一つ最初のステップとしてお薦めしたいのが、「ブルゴーニュ・アリゴテ」です。ブルゴーニュにおいては、葡萄畑にすべき場所は、ピノ・ノワールとシャルドネに独占されていますが、実はもう一つ多く栽培されている葡萄品種があり、それがブルゴーニュ原産の品種アリゴテです。

 もともと樹勢の強いアリゴテは、肥沃な沖積平野に植えられており、そこでは放置しておけば、100hl/haという巨大収量を産み出すことから、安価な地酒用品種と思っておられる方も少なくありません。

 しかし、白ワインはシャルドネだけでなく、ブルゴーニュのテロワールを反映する伝統品種アリゴテの白ワインも忘れ去られるべきではありません。事実、ブルゴーニュの最高峰生産者であるルロワ、コシュ・デュリ、ラモネ、ポンソなど錚々たる名手もアリゴテのワインをリリースしています。

 アリゴテを多収量で安ワインの原料品種のように思わせてしまったのは、人間の無見識の問題であって、決してアリゴテの責任ではないのです。

 ドメーヌ・ルーロのブルゴーニュ・アリゴテは、樽熟成は行わず、ステンレスタンクのみを使用しており、アリゴテらしい、フルーティで芳醇な香りが最大限に引き出されています。ドメーヌ・ルーロのラインナップの中では最もお手頃な価格で、ルーロファンに是非試して頂きたいワインです。

 ドメーヌ・ルーロの当主ジャン・マルク・ルーロ氏は近年、ドメーヌとしてのワイン造りに飽き足らずネゴシアンとしてのワイン造りもスタートし、2014年からは買い葡萄によりドメーヌ・ルーロには無かったラインナップを加え、自身の名を冠したワインをリリースしています。

 この形態は近年ブルーゴーニュにおいて台頭してきた「マイクロ・ネゴシアン(MICRO NEGOCIANT)」と呼ばれるもので、「選りすぐった栽培者から葡萄を購入してワイン造りをし、畑での栽培や収穫までにも影響力を持つ小規模なネゴシアンのことで、ドメーヌに限りなく近いネゴシアン」ということができます。

 このジャン・マルク・ルーロ氏の技術と銘醸畑で育った上質な葡萄の旨味が合わさったネゴシアンスタイルでリリースしているのは、「特級畑コルトン・シャルルマーニュ」、「ピュリニー・モンラッシェ一級畑ル・カイユレ」、「ムルソー一級畑ジュヌヴリエール」とレジオナルの「ブルゴーニュ・ブラン」の4銘柄ですが、信頼のおける栽培家が手掛け、厳しく選別された葡萄のみを使用し、醸造から熟成、瓶詰めまで、全ての工程はドメーヌものとなんら変わらないという、こだわり抜かれたワインは少量の生産に加えて、世界の愛好家から大変人気があることから日本への輸入も少なく、どの銘柄も入手困難となっています。

 ネゴシアン物のコルトン・シャルルマーニュやカイユレ等銘醸畑のワインは勿論人気がありますが、ネゴシアン物の「ジャン・マルク・ルーロのブルゴーニュ・ブラン」もルーロの素晴らしさを手軽に味わえることで人気があります。こちらは買い葡萄(葡萄は房で購入し、自ら圧搾・醸造しています)によるだけでの違いですが、少量生産に加えて価格も少し安いため、ドメーヌ物のブルゴーニュ・ブランよりいつも早く完売します。

 ワイン造りについて、グラン・クリュ、プルミエ・クリュだけでなく、村名ワインも区画ごとに造るようになったのは、ドメーヌ・ルーロが始まりだと言われていますが、この「テロワールの個性を尊重したワイン造り」によるシルキーで滑らかな質感、スタイリッシュでエレガントな味わいは、欧米やフランス国内での評価が非常に高く、上述したように元々生産量が少ない上に、全生産量のうち、約3分の2はフランス国内及びヨーロッパ向けに販売されているため、日本への割当は非常に少なく、入手困難な造り手となっています。

 1999年から上質な葡萄を栽培するため有機農法に転換し、一部で実験的にビオディナミを導入しています。また新樽比率は10〜30%と抑えめで、1年以上という長い瓶内熟成を経てからリリースすることで、香り高く、雑味のない上品な味わいを生み出しています。

 「シルクのよう」と形容されるドメーヌ・ルーロの美しいムルソーを是非味わっていただきたいと思います。

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