ジュヴレ・シャンベルタンにおいてカルト的人気を誇る最高峰生産者

2017年VTからEUのビオロジック認証を示す[ユーロリーフ]取得

 【ドメーヌ・ベルナール・デュガ・ピィ】

  〜Domaine Bernard Dugat-Py〜


 ご承知の通り、デュガ・ピィは、いとこのクロード・デュガと共に、ジュヴレ・シャンベルタンに本拠を置く小規模ドメーヌながら、カルト的な人気を誇る造り手で、僅か0.05haで1樽にも満たない特級シャンベルタンを筆頭とする珠玉のワインを造っています。また、デュガ・ピィの畑の葡萄の樹齢は非常に古く、ドメーヌ平均で65年、しかも所有する畑はいずれも極小で、生産量も少ないことでも有名で、ブルゴーニュ愛好家垂涎の入手困難な造り手の代表格となっています。

 ベルナール・デュガ・ピィのワイン造りのスタイルは、濃密な果実味をバックボーンに備えながら、あくまでピノ・ノワール特有のエレガントさを体現し、それに個々のテロワールの差異が彩りを添えるというものであり、現在のブルゴーニュで望みうる最上のワインを産するドメーヌと呼ばれています。1998年から完全有機農法(ビオロジック)を開始し、2003年にすべての畑をビオロジック栽培に転換完了しており、酸、タンニン、果実味、樽が高い次元で渾然一体となった驚くべき品質のワインを造り出しています。

 ワイン版ミシュランと呼ばれるフランスのワイン評価本レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス(2007年版までの名称はル・クラスマン)でも、最高の三ツ星生産者にランクされています。この本の中でブルゴーニュの三ツ星生産者は11名、その内、赤ワインに限ると三ツ星生産者はルロワ等5名だけですので、その品質は折り紙付きです。

 また、日本でも下の写真の通り、美術出版社発行のワイナート43号「特集至高のブルゴーニュ」にも掲載されていますので、ご存知の方も多いと存じます。

 デュガ・ピィのエチケットには、ドメーヌ自慢のセラーが描かれています。この柱や天井の形式はどこかで見たことがありませんか?そう、これは12世紀始めのゴシック建築のリヴ・ヴォールト天井の様式で、世界遺産で有名なモン・サン・ミッシェルの迎賓の間や回廊の天井の様式と同じものです。現在ドメーヌ・デュガ・ピィがワインを貯蔵しているセラーは、12世紀に建てられたもので、ビザンチンの柱、ローマの壁、そしてゴシックの天井を合体させた折衷様式で造られており、ディジョンのベニューニュ大聖堂のワインを貯蔵していた由緒あるものなのです。 下に写真を並べてみましたのでご覧ください。

 下表はデュガ・ピィが所有する畑の一覧表です。それぞれの畑に所有する面積が非常に少ないため、需要を満たすだけの生産量がなく、入手困難な造り手であることが良く分かりますね。

 各畑でのワインの生産本数(概算)は1ヘクタール当たりの平均年での葡萄収量から、「4000本x所有面積(ha)」の算出式でおおよその目安が分かります。例えば極小の特級畑シャンベルタンの場合、「4000x0.05」で約200本程度の生産量となります。ブルゴーニュの標準のピエス樽は、1樽容量が225リットル(約300本)ですから、標準樽は大きすぎて使えず、樽メーカーのフランソワ・フレール社にその年の醸造量にピッタリのサイズの樽を特注しているそうです。

 この樹齢100年近い古樹の葡萄で造るシャンベルタンは、なにせ200本足らずの生産本数の上に、折半耕作により、1/3を土地所有者に納めることから、正規代理店のインポーターや著名評論家も試飲できないほどの稀少ワインで、ブルゴーニュワイン大全の著者ジャスパー・モリス氏もその著書の中で「私は樽からしか飲んだことはないが、信じがたいほど豪華なワインで、その風味一つ一つが極上で、思慮深さと威厳が両立を保っており、瓶熟成の頂点に達した際には恐るべきものとなるに違いない」と記しています。

 当然日本への輸入も少なく、多い時でも1ケース(12本)とも言われる幻のシャンベルタンで、入手は困難を極め、実物は勿論、写真でもご覧になったことがない方も多く、東京の某百貨店で販売した際は、徹夜組もでたという超レアワインの代表格です。

 

 シャンベルタンの他に、マジ・シャンベルタン、マゾワイエール・シャンベルタン、シャルム・シャンベルタンの特級畑、ラヴォー・サンジャックやプティ・シャペル、シャンポーを所有していますが、これら非常に少量かつ秀逸な特級畑や一級畑以外で注目されるワインは、やはりドメーヌの本拠地ジュヴレ・シャンベルタンの村名キュベでしょう。

デュガ・ピィの村名キュベには次の3銘柄があり、ここにもドメーヌの誇りと矜持を感じます。

(1)ジュヴレ・シャンベルタン キュベ・クール・デュ・ロワ  

クール・デュ・ロワは畑の名前ではなく、村のいろいろな場所にある複数の区画をブレンドしたもので生産量は4,500本から5,100本ほど、村名格ながら75%の新樽が用いられている他、特筆すべきは葡萄の樹齢で、最も古い樹々は1910年のもので、平均樹齢は75年にもなるという超ヴィエイユ・ヴィーニュです。

(2)ジュヴレ・シャンベルタン V.V.(ヴィエイユ・ヴィーニュ)

村名格畑の樹齢30年〜70年の葡萄で造るのがジュヴレ・シャンベルタンV.V.で新樽率は25%、生産本数は3000本から4000本です。

(3)ブルゴーニュ・ルージュ キュベ・アリナール

キュベ・アリナールは、レジオナルとなっていますが、村名ジュヴレ・シャンベルタン畑の樹齢30年未満の葡萄をデクラセ(格下げ)してリリースしているもので、実際には村名ジュヴレ・シャンベルタンを名乗れるものです。ジュヴレ・シャンベルタンの品質向上のためにあえてデクラセしており、通常のブルゴーニュ・ルージュとは別物のお買い得ワインです。 通常のブルゴーニュ・ルージュも平均樹齢45年の古樹から造られますが、レジオナル格の畑のため、樹齢がどれほど古くなってもレジオナルから格上げされることはありませんが、村名格畑のキュベ・アリナールは、樹齢を経るにつれて、ジュヴレ・シャンベルタンV.V.やクール・デュ・ロワとなっていきます。

 ジュヴレ・シャンベルタンを本拠地とするドメーヌだけにやはりビオロジックでの葡萄栽培から手摘みでの収穫、醸造・熟成まで丁寧に造られたジュヴレ・シャンベルタンの銘柄がお薦めですが、近年、ヴォーヌ・ロマネ、更にコート・ド・ボーヌにも進出し、ヴォーヌ・ロマネ及びポマールの赤ワインとコルトン・シャルルマーニュ及びムルソーとシャサーニュ・モンラッシェの白ワインがいくつか加わりました。赤ワインの天才とも言われたデュガ・ピィが造る白ワインもまた魅力があります。

 なお、ドメーヌ・ベルナール・デュガ・ピィでも世代交代が進み、2017年からはベルナール氏の子息ロイク氏が13代目の当主となっており、父の濃密でパワフルなスタイルは踏襲しつつ、ビオロジック栽培により葡萄の凝縮感やミネラル感も高まったことで、複雑味や余韻も増した、よりバランスの良いワイン造りを目指しています。また、当主交代に伴い、ボトルに貼られるエチケットの図柄も2015年ヴィンテージから順次新しいものに代えていますが、新エチケットでは、ドメーヌの古い歴史を示すセラーの絵と共に「CAVES DE L'AUMONERIE DU XI SIECLE (11世紀に建てられた教会のワイン蔵)」との言葉が誇らしげに記載されています。下にジュヴレ・シャンベルタン一級ラヴォー・サン・ジャックの新旧エチケットの写真を掲載しておりますので、ご覧ください。

 また、ドメーヌ・デュガ・ピィでは、2003年に全ての畑をビオロジック栽培に転換していましたが、父ベルナール氏は認証取得には関心がなかったようですが、ロイク氏はその必要性を訴え、認証を取得し、自身が当主となった2017年ヴィンテージからデュガ・ピィの全ボトルの裏面ラベルには下の写真の通り、[EUのビオロジック認証を表すユーロリーフ]が表示されています。

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【デュガ家家系図】

 カルト的な人気を誇る小規模生産者のドメーヌ・デュガ・ピィとドメーヌ・クロード・デュガが従兄弟関係(父親同士が兄弟)にあることはご存知だと思いますが、下にデュガ家の家系図を掲載しますので、その関係をご確認下さい。

 なお、「ドメーヌ・ベルナール・デュガ・ピィ」という名称は、ベルナール・デュガ氏と妻の姓ピィを組み合わせたものですが、ブルゴーニュでは夫妻の姓を組み合わせてドメーヌ名とする例は多くあります。これはワイン生産者の親族同士の婚姻の場合、夫婦とも出身家の葡萄畑を相続していることがその理由です。しかしながら、デュガ・ピィの場合には、ピィ家から相続した畑はないのに妻の姓をドメーヌ名に付けるあたり、彼の人柄と妻への愛情の深さを表しているようです。

 また、上述したようにエチケットにも描かれているドメーヌ・デュガ・ピィ自慢のセラーは、12世紀に建てられ、ディジョンのベニーニョ大聖堂のワインの保管蔵として使われた「ブルゴーニュ最古のワインセラーの一つ」です。その長い歴史を踏まえ、ワイナリーを意味する中世の言葉「アリナール」をACブルゴーニュの名前に付け、「ブルゴーニュ・ルージュ キュベ・アリナール(Bourgogne Rouge Cuvee Halinard)」の銘柄でリリースしています。

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